検挙数偏重、ゆがむ目標 県警自ら隊書類ねつ造
2004/07/09
不正処理の再発防止に導入された「事件等引継書」(コピー)
「検挙実績を上げたかった」―。不正に手を染めた警察官らは、こう弁解した。兵庫県警自動車警ら隊(自ら隊)で発覚した捜査書類ねつ造問題。五十人以上が関与したとされる前代未聞の不祥事に県警関係者らは一様に戸惑いや苦悩の色を隠せない。「不正に走るほど厳しいノルマではない」と県警幹部。数字でしか評価しない「検挙実績主義」を問う隊員ら。県民の暮らしを守るという本来の目標は、いつの間にかゆがめられていた。
「摘発ノルマに届かないと『飛ばすぞ』『辞めるか』と迫られた」。自ら隊に所属していたある警察官はこう振り返る。
同隊が目標に掲げる月間の刑法犯検挙件数は約八件。不足分は翌月に持ち越され、さらに重いノルマとなって隊員たちにのしかかった。
「常に『前年比増』という言葉に縛られる。その結果、けんかの仲裁などポイントにならない現場に行かない人間までいた」。ある隊員は、自分たちの仕事が県民の安全に役立っているのか、不安を覚えた、という。
治安悪化が叫ばれる中、警察庁は昨年から街頭犯罪抑止対策を推進。二〇〇二年に刑法犯認知件数の増加数、伸び率ともワーストを記録した兵庫県警は「街頭犯罪・侵入犯罪抑止総合対策室」を設置。組織を挙げた取り組みで〇三年はいずれも八年ぶりに減少に転じた。
が、その陰で捜査書類ねつ造による事件の不正処理が繰り返されていた。
「数字はもちろん大事。努力目標を設けないと人は安きに流れる」とベテラン警察官。犯罪の認知件数に対する事件解決の割合を示す「検挙率」は、警察の総合的捜査力とも言える。だが、現状は「数字にとらわれるあまり、『守りの検挙』に陥っている」と指摘する。
県警は、一連の問題の背景に、書類のチェック体制の甘さがあったことを重視。今月から自ら隊が事件・事故を引き継ぐ際、新たに「事件等引継書」を作成することを義務付けた。
不祥事が発覚するたびに繰り返される管理の強化。「ただ厳しくするだけでは改善は進まない。現場の警察官がやりがいを持てる、評価基準の見直しも含めた抜本的な改革が必要」。幹部や隊員を問わず、こうした声は多い。
捜査書類ねつ造問題 兵庫県警自ら隊の隊員らが、自転車盗などの事件処理に用いる成人用の「微罪処分手続書」と少年用の「簡易報告書」に架空の被害者を記入するなどねつ造。内部報告書類200件以上も偽造していた。これまでの調査で50人以上の関与が判明。県警は有印公文書偽造容疑などで、10人前後の書類送検、管理責任を含めた100人前後の処分を検討している。
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