前代未聞、釈明むなし
2004/12/02

自ら隊員らの処分を受け、謝罪する相浦勇二警務部長=1日午後2時半、兵庫県警本部
 現職警察官百六十三人。兵庫県警自動車警ら隊(自ら隊)での捜査書類ねつ造事件は一日、前例のない大量処分者を出す、県警史上最悪の不祥事へと発展した。摘発実績アップに翻ろうされるうちに、警察活動の原点を忘れてしまった隊員に、虚偽の実績を見破れず、管理監督の甘さを露呈した上司。記者会見した県警幹部は「組織ぐるみではなかった」と強調したが、組織に不正行為を許してきた土壌があったことはいなめず、釈明はむなしく響いた。

 一連の問題はこれまで監察官室長らが説明に当たってきたが、この日は初めて相浦勇二警務部長が対応。午後二時半から県警本部で行った記者会見の冒頭、「誠に遺憾。県民に申し訳ない。再発防止を徹底し、信頼回復に努めたい」と述べ、深々と頭を下げた。

 会見では、上司の指示の有無など「組織ぐるみ」の不正かどうかについて質問が集中。相浦部長は、隊員らからの事情聴取で「(上司が)知らないはずはない」との供述を得たことを明らかにした。しかし、捜査の結果、「不正は隊員らの間で広がったもの」とし、上司の直接的関与はなかったとの判断を繰り返し示した。

 不正の背景とされる摘発ノルマについては、「目標管理をしていた事実はある」とした上、「それ自体に問題はなく、上司らによる十分な管理ができていなかった」と釈明。長年にわたり不正が続いていたことを認めたが、書類が残っていないことを理由に、調査対象外の二〇〇一年以前については明言を避けた。

 また、問題発覚を受け県警の調査が始まってからも、内部報告書の虚偽記載を行っていた隊員が、調べに対し、「この程度なら許されるだろうと思った」などと供述していたことも明らかにした。

 一方、会見後、兵庫県議会警察常任委員会が緊急に開かれ、巽高英・県警本部長が陳謝。委員から「事案発覚から、調査を終えるまでなぜ一年もかかったのか」と問われ、「時間がかかったことは大変申し訳ない」と述べた上、「調査書類が膨大だったことや、調査途中で〇四年の新たな不正が発覚したため、時間がかかった」と答えた。

 警察の裏金問題などを取材するジャーナリスト鳥越俊太郎氏の話 厳しい階級制度の中でうまくやっていくためには、悪いと知っていても誰も「ノー」とは言えない。「検挙率アップ」という大義名分のもとで不正な手段が正当化され、拡大していった。「みんなのため」を掲げた裏金問題と根は同じ。こうした不正がまかり通ることで、現場の警察官の士気が下がることが一番怖い。チェックするメディアの側も怠慢だったと言える。

 危機管理コンサルタントの田中辰巳・リスクヘッジ社長の話 これだけの人数(百六十三人)が関与したということは、細菌の全身感染を食い止める「リンパ節」のようなものが、組織内になかったことを証明している。不正の歯止めとなるのは個人の意識。職業へのプライドとも言い換えられる。警察官が本来の使命や職務を見失い、「サラリーマン化」していることを象徴した事件だ。高い志を持つ人材を育てられるよう、人事制度などを見直すべきだ。

・特集「県警捜査書類ねつ造

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