食べないで-。食品販売業者から悲痛の訴えが漏れた。三十日、兵庫県をはじめ各地で、中国製冷凍ギョーザによる食中毒事件が発覚した。あまりの症状の激しさに、警察は毒物混入事件を視野に捜査、高砂市の被害男性は激しい下痢や体の震えに「死ぬかと思った」と振り返った。スーパーなどは関連商品を店頭から撤去。買い物客らは「怖い」と不安を募らせる。中国から輸出された食品をめぐる中毒事件は、世界各地で後を絶たない。半年後に北京五輪を控えた隣国で「食」への信頼が揺らぎ続ける。
和やかな正月の団らんが一転した。今月五日、夕食に中国産のギョーザを食べて食中毒になった高砂市内の家族三人が三十日夜、自宅で取材に応じ「食べた直後に吐き気がし、意識がなくなった」「吐き気と手足の震えが続き、死ぬかと思った」と恐怖を振り返った。
自営業の男性(51)とその妻(47)、高校三年の二男(18)が自宅で冷凍ギョーザを食べたのは一月五日午後六時半ごろ。口に入れた瞬間、三人とも食べ物にはないような苦味を感じ、妻は食べようとした一個を飲み込まずに吐き出した。
最も多い十一個を食べた二男は、直後にめまいを訴えて倒れ、嘔吐(おうと)と顔や手足のけいれんが始まった。目の焦点は合わず、顔から見る見る血の気がなくなった。「急に体を支えられなくなり、意識が遠のいた。気付くと病院のベッドの上だった」という。「とにかく苦しかった。目に見えないものなので、対処のしようもなく、怖い」
二男が救急車で高砂市民病院に運ばれてほどなく、男性も吐き気と下痢に襲われ、親せきの車で同じ病院に運ばれた。「入院中も数十秒おきに手足ががたがた震え、体がふやけていくようだった。何度ももう死ぬかと思った。あんな苦しみは二度と経験したくない」と憤った。
さらに二男に付き添った妻も病院に到着して約三十分後、吐き気と全身のしびれで体を動かすことができなくなった。
六日、血液検査の結果から、三人に有機リン中毒の疑いが判明。それぞれ退院したものの、腕などにしびれが残り、今も通院を続ける。
男性は「体に震えがきたとき、パッケージを見たら中国製とあったので、やっぱりかと思った。誰でも食べるものに劇薬が入っていたなんて信じられない」と怒りをあらわにした。
(2008/01/31)
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