災害情報伝達に課題 ケーブルテレビ役立たず
2004/09/09

台風情報の伝達に威力を発揮した防災行政無線の放送室=一宮町役場
 8月以降、相次いで淡路を襲った台風などの風水害、そして連続地震。島内自治体は避難勧告など災害情報をさまざまな手段で住民に発信しようとした。しかし現実には情報が届かなかった住民、勧告を受けても避難しない住民も多かった。災害情報伝達の現状と限界、今後の課題を検証する。

■伝わらない

 二度の台風で浸水被害が相次いだ西淡町。三原町と共同運営するケーブルテレビは湊地区などの多くの住民に避難勧告を伝えたが、台風16号の際は停電で阿那賀地区は役に立たなかった。

 同地区には町職員が広報車で勧告を伝えて回ったが、役場から着くまでに時間がかかる上「強風で雨戸を締め切っている家が多く、聞こえなかったのではないか」と木場徹住民生活課長。

 同地区では一般電話もつながりにくく、職員が手分けして各町内会長の携帯電話を呼び出して各家庭に伝えた。

 木場課長は「行政にも限界がある。停電し、連絡が取れない大災害では、町内会など隣近所の自主防災組織に頼らざるを得ない」と話す。

■避難しない

 一方で、浸水被害がさらに多かった一宮町では、阪神・淡路大震災後の一九九八年に整備した防災行政無線システムが威力を発揮した。

 「町内九カ所の屋外スピーカー、各家庭に無償配布した受信機は電池内蔵。停電でも問題なく使える」と担当者。台風18号では停電した江井地区で「無線で避難所の開設を知った」と早めに避難したお年寄りもいた。

 しかし、町全体で見れば、避難を勧告した五百六十世帯千四百九十人のうち、実際の避難はわずか十六世帯二十八人にとどまった。「無線は聴いたが、高潮で命までは取られん。家財道具の方が大事や」と江井地区の男性(61)はつぶやく。

 滝谷勝三総務課長は「勧告が届いても、従ってもらえなければ出す意味がなくなる。来るべき南海地震で命取りにならないよう、住民の啓発が必要だと痛感させられた」という。

■間に合わない

 今世紀前半に発生する恐れがある南海地震。南淡町は県内で最も大きな津波被害が予測されている。地震で停電した場合、住民は避難勧告などの災害情報をどうやって入手するのか。

 町によると、職員が町内会を通じて電話で避難を呼びかける▽町内六地区にあるサイレンを鳴らす▽広報車で直接住民に指示するという。さらに、町のホームページ「防災ネット」を活用し、携帯電話のメールで伝える態勢も整えた。

 幸い、今回の相次ぐ地震の津波は小さかったが、一回目の地震で気象庁が津波注意報を出したのは発生から七分後。南海地震では、発生後五十分後に五メートルを超える津波が押し寄せるといわれる。

 防災担当職員は「避難勧告を待っていては遅い」と警告する。森紘一町長でさえ「二度目の地震後、役場に着くまで三十分かかった」。自分自身の避難に加え、近隣の子どもや高齢者ら災害弱者を救おうとすれば、まさに一分一秒が争われる。一連の災害が突きつけた課題は重い。

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