裏方さんあっぱれ 尼崎の阪神戦イベント、混乱なし
2003/09/18

 十五日に十八年ぶりのリーグ制覇を決めた阪神タイガース。阪神尼崎駅前で五日間にも及んだ大型画面での試合中継イベントは、予想をはるかに上回る数の熱狂的なファンが殺到しながら、事故や混乱が生じることなく幕を閉じた。警察の協力も得ながら、現場を取り仕切ったのは地元商店街の商店主や市職員ら。何のノウハウも持ち合わせていない“素人集団”が一致協力し、大きな仕事を見事にやり抜いた。

 イベントの実行委員会は尼崎商店連盟や尼崎市、阪神南県民局などで構成。「民」が「タイガースVで地域活性化を」と呼び掛け、「官」を巻き込んだ。事業費は県民局が一部負担する見込みのほかは、企業や商店の協賛金、記念品販売の収益で賄うことになった。

 イベント開始直前の九日。会場設営が進む中、警察立ち会いのもとで同委員会・警備部会長の長谷川順三さん(64)=同商店連盟理事=や市職員らが入念に安全確認を行った。“凶器”になり得る鉄製のごみ箱やプランターを撤去するなど、徹底した危機管理に努めた。

 いざイベントが始まると、実行委員が会場内をこまめに巡回。主催者側の姿勢が伝わったのか、暴発するファンは出なかった。最終日、約四千人のファンが集まり「優勝を待ち望む気持ちと、怖さが半々」と打ち明けた事業部会長伊良原源治さん(54)=尼センデパート理事長=の懸念も杞(き)憂に終わった。

 優勝決定後、会場ではしゃぎ続けるファンに実行委員が直談判し、午後十時で解散する約束を取り付けた。きっちり十時に騒ぎが収まると、リーダーらしき若者が実行委員の輪に近づき「気持ちよく騒がせてくれてありがとう」と頭を下げた。イベントの成功が何よりも表れた瞬間だった。

 イベント部会長を務めた吉岡健一郎さん(43)=尼崎中央三丁目商店街理事長=は「一日百万円程度の経費がかかり、五日間にも延びて頭が痛い」と苦笑いを浮かべながらも、「事故なく終われたし、官民が一緒に汗を流せた。協働参画の新しい形を作れたのでは」。充実感をにじませて締めくくった。

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