5.大切な「自衛」 意識すれば防げる被害
(掲載日:2002/08/29)
実らぬ啓発 各署の悩み
 

 「ひったくり、たくさん起きてます。気を付けて」

ターゲット

 三宮。日付が変わり、仕事を終えネオン街から帰りを急ぐ二十代女性に、啓発活動中の葺合署員が声を掛けた。

 腕を上に曲げ、かばんをひじの内側にかけるように持っている。別の署員は「ああいう持ち方は狙われやすいねぇ」。

 自転車も多い。かばんをハンドルにかけている人もいれば、前かごにかばんを入れているだけの人も。署員が前かごに付けるプラスチック製のカバーを紹介すると、「ただならもらうけど」「黄色い色が恥ずかしい」と、反応は今ひとつ。

 女性の被害者は全体の九割を占めるが、服装や年代は関係ない。「犯人はいかに早く奪い、早く逃げるかに神経を集中させている。かばんを抱えたり、自転車の前かごに新聞や雑誌でふたをしたりするだけでも防止効果があるのだが」。浸透しない啓発に、署員もいらだちを隠せない。

◇       ◇       ◇

 「ひったくり、ぎょうさん出とるんです。私は大丈夫と思っている方ほど、用心してほしい」

 中央区橘通三の「たちばなデイサービスセンター」で、生田署員がお年寄り約二十人に被害を防ぐポイントを挙げた。

 かばんは車道と反対側で持つ▽塀との間を空けずに歩く▽危ないと思ったらかばんをおなかの前で抱え込む…。

 うなずくお年寄りたち。同センターの別のクラスの七十代の女性が約二カ月前、ひったくりに遭い転倒、左腕を骨折した。だが、そんな話を聞いても、まだ自分の問題とは思えない。

 署員が帰ると、八十代の女性は「夜外出する機会は少ないし、ぴんとこない」と漏らす。

 各署とも約二年前からひったくりの被害防止に力を入れているが、「いかに自分の問題として考えてもらうか」が、共通の悩みだ。

 「検挙に勝る防犯なし」ではあるが、毎日のようにひったくりが起きているという現実。

 防犯担当の署員は力を込めた。「自分も狙われるという意識を持つだけで被害は防げる」と。

 次は、あなたが狙われる、かもしれない。
=おわり=
(永田憲亮、井関徹、平井麻衣子、小西隆久、三島大一郎が担当しました)

 5 連載TOP 神戸TOP HOME

Copyright(C) 2002 The Kobe Shimbun All Rights Reserved