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| ◇パネリスト 甲南大学教授 都染直也さん 播州弁研究会会長 井上四郎さん 姫路ケーブル・テレビ・キャスター 吉川佳代さん FM GENKIパーソナリティー 西口紗矢さん ◇コーディネーター 中元孝迪・神戸新聞論説特別顧問 |
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| 基調講演 甲南大学 都染直也教授 「播磨ことば学入門」 | |||||||||||||||||||||
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多様性 混ざって深く
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播州弁は「〜です」を「〜や」と言ったり、打ち消し表現として「〜へん」を使うなど、京都弁や大阪弁と同じ特徴を持っているが、「関西弁」には含まれない。それは、敬語などに使う「〜はる」という言い方がないからだ。 一方で、播州弁も関西弁にないものを持っている。例えば雨の場合、傘がいるときは「(雨が)降りよる」、いらなくて地面がぬれているときは「降っとーな」。「よる」は現在進行形を意味しており、このように繊細なニュアンスで言い方を区別できるのは、播州弁の大きな特徴である。 しかし、同じ播州地方でも単語や言い回しで地域ごとに微妙な差があり、「播州弁」と一つにまとめることはできない。幾つか例を挙げたい。 まずは発音。京都から姫路にかけての地域では「雨」という単語の「め」にアクセントを置くが、西播では「あ」で、標準語にも近い。また、小野や加西、加東郡のアクセントは室町時代末期の面影を残している。 単語でも、例えば「彼岸花」は「テクサレ」「シブレ」「キツネノカミソリ」…などさまざまな言い方があり、同じ播州でこれほど違うものかと驚いてしまう。もっとも、日常生活であまり必要のないものには、地域ごとにいろんな名前が付けられているようだ。 また播州弁は、年代別でも表現方法に変化が起きている。 代表的な言葉の「ごーわく(腹が立つ)」。姫路を中心とした広い範囲で中高年層が使う一方、若者はほとんど使わない。「来ない」も、年配の間では「きやへん」「きえへん」など若干異なる言い方があるが、若者の場合、地域に関係なく「こーへん」が主流を占める。 こうした変化の要因として、テレビの普及による若い世代の言葉の標準化を指摘する人がいるが、必ずしもそうではない。その証拠として、だれも「来ない」とは言わない。むしろ、進学などで播州を離れ、さまざまな地域の言葉と混ざり合うことなどで、新しい播州弁が生まれているのではないだろうか。 昔ながらの播州弁が「カニ」ならば、平成以降の播州弁は実際の方言ではなく「カニ風味」といったところ。こうした現状では、播州弁を守るといっても難しくなっている。 |
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| パネル・ディスカッション 「文化財」しゃべって残そう | |||||||||||||||||||||
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中元 私の大学時代のクラスには全国から学生が集まり、みんな言葉がばらばらだったことが播州弁を意識するきっかけになりました。皆さんが播州弁を意識した瞬間を教えてください。
西口 ナレーションの勉強で共通語を身に付けましたが、最近は地元での仕事が増え、あらためて「播州弁はすごい」と思いました。例えば「やっさ」。言葉の響きだけで、屋台を担ぐ男性の熱気が伝わってくるように感じます。 井上 第二次大戦中に東京で訓練を受けていたとき、周りは関東の人間ばかり。私が「あーしんど」と言うと、笑いながらまねして使う人もいました。播州弁にはなにか強烈なインパクトがあったようです。 中元 好きな播州弁、嫌いな播州弁を教えてください。 都染 好きな播州弁は「まくばる」。「均等良く配置につく」という意味ですが、祭りの屋台が傾いたときに「そっち、まくばらんかい!」と使います。嫌いな言葉は特にないですが、「がいようしよってや」くらいしか良いほめ言葉が浮かばないのが残念ですね。 吉川 好きな言葉は「どない」。「どないしょん」「仕事どない」など、その響きに、相手に対する温かみがあふれているように感じます。逆に、「だぼ」「おんどれ」などは播州人以外が聞いたらきっとびっくりするでしょうね。
中元 播州弁は柄が悪い、汚いといわれますが。 都染 言葉に本来きれい、汚いはないが、発音で強弱はあります。関西人はどこへ行っても大声で話し、発音が強いので、そうとられる。 井上 町長時代、陳情先で播州弁を話すのは失礼といわれていたが、使うと案外うけた。「播州弁のおっちゃんが来た」といわれ、私自身はごっつ、得しました。 吉川 播磨気質なのか、秋祭りになると人が変わります。取材でも「お姉ちゃんじゃまや、どかんかい」といわれます。普段はそんな言葉を使わない人も、無意識に使っているようです。 中元 広島弁は「腹の座った」、鹿児島弁は「気骨あふれる」、などの分析があります。それでは、播州弁は? 都染 「けんかや祭りにもってこいの播州弁」との指摘がある一方、山間部はおっとりしています。播州弁はひとくちにくくれない、大きな二つの顔を持ちます。また、関西弁が赤、中国地方が白なら、播州弁はピンク。大阪や京都から見ると田舎っぽく、中国地方から見ると都会のイメージです。 井上 福崎町出身の民俗学者・柳田国男が「その地方の言葉を知ることは、その地方の方言を知ること」といっています。だから、ぜっぺ、残さなあかん。
中元 播州弁の魅力を伝えるため必要なことや現在、取り組まれていることは。 井上 沖縄の空港に「めんそーれ」と看板が出ているように、姫路駅の前にも歓迎の言葉を播州弁で書いた看板を立ててはどうでしょう。また、播州弁かるたを作り、毎年一月には外国人を集めてかるた大会を開いています。言葉の壁で悩んでいた留学生が元気を取り戻したという話を聞き、方言の力を感じました。 都染 私たちの立場では、徹底的に記録・保存するということに尽きます。秋田県はそのためのCDロムを作るなど、地元の言葉を文化とみる意識が高い。秋田県がCDロムなら、兵庫県は方言を収録したDVDを作ってもよいのでは。建築物だけでなく、言葉も文化財としてとらえる視点が必要だと思います。 西口 しゃべり倒して、浸透させること。まだまだ私の知らない播州弁もたくさんあります。いろんな人と話して、方言の良さを広めたい。 吉川 やはり会話。核家族化が進んで、若い人を中心に播州弁が薄れてきていると感じます。会話で多くの人が播州弁にもっと興味を持ってもらえれば。 中元 言葉は社会の装置、つまりインフラだと感じます。地域のインフラである方言を守れば、地域の一体感を保てるし、経済も発展する。その構図が確立できれば、播磨の将来は“べっちょない”。 |
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