1.提灯(2004/08/11)
薄暮に浮かぶぬくもり
 

 夏の夕暮れ。夕闇にぽっかりと浮かぶ「地蔵尊」の文字。地蔵盆、夏祭りの露店…。浴衣姿の人々を、提灯(ちようちん)が迎える。

 樽屋町のマルヤ洋傘店。店頭に紅白や青、黄、ピンクで彩られた鮮やかな提灯が所狭しと飾られている。「居酒屋」「明石焼」―。昔ながらの風情だ。

 店主の丸山真一さん(87)は、提灯に文字を書き込む職人でもあり、キャリアは約70年になる。「昔の夏祭りは人出が多くにぎやかで提灯の注文が多かったもんやけど、最近はさっぱり」と話す。「いずれ提灯なんか、無くなるんとちゃうか」

 しかし、「日本舞踊を踊る人間が着物を着るように、夏祭りには手作りの明かりが似合う」と、きょうも文字をつづる。

 電灯では手に入らない温かさ。夏の夜には、提灯の明かりが映える。

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 見慣れたはずの町中に、ふと懐かしさを感じる風景がある。「郷愁」を求めてスケッチする市内在住の画家と、一緒に歩いた。

(絵・須飼秀和さん、文・植田治男記者)

 すがい・ひでかず 一九七七年八月、明石市生まれ。二〇〇四年三月、京都造形芸術大芸術学部美術工芸学科洋画コースを卒業。在学中から「懐かしい景色」を日本各地に取材し、ポスターカラーを使った風景画を制作。明石市在住。

 
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