2.醤油蔵(2004/08/12)
伝統の味受け継ぐ風格
 

 入り組んだ路地に、木組みの蔵。通りには醤油(しようゆ)独特の甘辛くて香ばしいにおいが、潮風に混じって広がっている。

 高層マンションと木造の古い家が混在する魚住町中尾に、明治元(1868)年からこの地で醸造を続ける「西海醤油」の醤油蔵があった。茶色の外壁が歴史を感じさせる。

 「大正から昭和初期にかけて、このあたり一帯は『魚住銀座』と呼ばれ、商店が軒を連ねていた。醤油もよく売れて、まち全体が繁盛していたものだ」。親子二代、同社で醤油造りを続ける菊万一郎さん(57)が、父親から聞いた話だ。

 中に入ってみる。蒸し暑い中、若い男性社員が額に汗を浮かべながら、無心に作業に打ち込む。

 蔵の入り口から逆に、あたりの風景を顧みた。昔の繁栄をしのばせるものは、見当たらない。

 が、この蔵では職人たちが、伝統の味を大切に守り続けている。

(絵・須飼秀和さん)

 
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