大丈夫と言いたい 淡路の被災事業所
7.波及 (2004/12/04)
忙しくなる時期なのに
 
駐車場で「待機」する大型トラック。農業被害は運送業にも波及している=三原町市円行寺

 三原郡の農業被害は、島内に約二十ある運送業者に波及している。

 三原町市円行寺、「稲田運送」の駐車場。東京、名古屋、大阪などの大消費地に向けて昼夜を問わず走るはずの大型トラックが十台以上、止まっていた。同社が保有する台数の約三分の一。荷台にあしらわれた特産のレタス、タマネギのイラストが寂しげだ。

 「うちらにとって、三原平野は屋根のない工場。忙しくなる時期なのに。運ぶものがなければどうしようもない」。稲田豊社長(50)は肩を落とす。運送量は例年の半分に満たず、来春まで回復しそうにないという。

 今年の異常気象による全国的な産地被害で、野菜の値段は高騰。が、運送業界は規制緩和などで生き残り競争が厳しく、料金を上げられる状況ではない。排ガス規制が強化され、交通事故の責任追及の声が強まるなど世相も厳しい。半面、災害で行政から特別な支援はない。我慢が続く。

 一方、ガソリンスタンドは、大量の車が水損した影響を受けている。

 洲本市桑間の県道(旧国道28号)に面する久米石油洲本営業所。台風当日、一メートルを超えた濁流が夜になって引いた後、一面の泥だった。洲本川上流方面から押し流されてきた車三台も残り、うち一台は仰向けだった。

 「ひどいと思ったが、もっとひどいところがあった」。久米脩資常務(59)は振り返る。

 なじみ客だった近くの農家が軒並み被災していた。田んぼに畑、農業機械、そして一家に数台ずつあった自家用車。自宅再建で余裕がなく、安価な中古車を一台買った世帯も多いという。一週間で店舗を再開した後、はたと、お客の車の数が減ったことに気づいた。

 西淡町湊で生まれ育ち、子どものころ床上浸水の経験がある久米さん。家の中に染みついた泥のにおいで、一年は食事をおいしく感じなかった。

 「十一月後半から、灯油の注文がぼちぼち入り始めた。新しいボイラーで風呂がたけるようになったのか。畳はまだだろう」。被災者の労苦を推し量る。

 師走。例年に増して、平穏な暮らしを願う年の瀬となった。
=おわり=

 
 
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