まちの医療は今 第2部
岐路に立つ小児救急
 

10.産科

(2006/12/01)

新生児の対応も課題

市立西脇病院のNICU=西脇市下戸田

 「小児科は、産婦人科と一体であるのが普通だ」

 現在、その両方を失った状況といえる公立社総合病院(加東市)の西村興亜院長(67)は、そう力説する。

 だが両科とも医師不足が激しく、現状での併存は極めて難しい。小児救急の拠点に選定された市立小野市民病院(小野市)も昨年六月、産婦人科を休止した。

 北播磨県民局にとっても「小児科と産婦人科はセットに」というのが理想。

 県民局は「産婦人科を復活させてほしい」「出産リスクの高い妊産婦と、異常のある新生児も診療できる医療体制を整備してほしい」などと、小野市民病院への要請を続けている。

 だが、小野側は「市内に産婦人科の開業医が二つもある。小野の出産件数から考えると、産科を持つのは当面は難しい」と、理想に近づきそうにはない。

◇  ◇

 一方で、小児科の常勤医二人を維持し、拠点病院にも名乗りを上げた市立西脇病院(西脇市)。こちらは出産直後の新生児の異常に対応できる「新生児集中治療室(NICU)」を持つ。西脇病院は現在改築中で新しい病院になっても、NICUを維持する方針だ。

 そして、西脇病院は北播磨の市立病院で唯一、産婦人科を維持している。西脇病院の大洞慶郎院長(59)は「産婦人科、小児科、そしてNICUの三点セットを持つのは、北播でうちだけ」と自負する。

 県民局は今後の見通しについて「医師一人体制の病院は、小児科維持はどうしても将来的には不透明だ。七人いる小野と、唯一複数の医師がいる西脇との二カ所が、これまで以上に小児救急の中心的役割を担うのかもしれない」。

◇  ◇

 安心して子どもを産み、育てられるまち。誰もが願うことだ。しかし、空気のように、当たり前にあるものでもない。北播磨の小児救急は、自治体や公立・公的病院、医師会(開業医)を軸に、近隣の医療圏域などの支援による微妙なバランスで成り立っている。産婦人科の休止、小児救急の危機。取り巻く状況が厳しさを増す中、どんな医療を理想とするのか。住民一人一人の選択が問われるときが来 ている。

(金井恒幸)
第二部おわり=

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