| ■作り方 |
 |
@薄力粉1とじん粉1をだし汁7で溶くAよく混ぜながら1回分の分量を取り、明石焼き10個に対し、卵1個を割って入れ、かき混ぜるBコンロに火をつけ、油引きで銅鍋に油を引くC鍋のへこみ穴に、溶いた材料を流し入れるD塩でもみ洗い、水でゆすいでゆでたタコをサイの目に刻んで1個ずつ入れるE5分程度、弱火でじっくり焼く。
|
◇
 |
| 木づちで銅鍋を打つ安福保弘さん。本物にこだわり続ける=本町2、ヤスフク明石焼工房 |
全国に知られる特産のタコを使い、明石名物の代表格に挙げられる明石(玉(たま)子(ご))焼き。タコを具に使うアイデアは明石で生み出され、大阪名物の「たこ焼き」は明石焼きに習ったという。こんがりと外側を焼きながら、内側はふんわり、とろーり。柔らかで、あっさりした繊細な風味の明石焼きに欠かせないのが手打ちした銅鍋だ。
銅はアカと読む。明石でただ一人、銅鍋を打つ職人が、ヤスフク明石焼工房三代目の安福保弘さん(65)=本町二。父親の仕事を継いで四十七年。樫(かし)の木づちなどで粘りのある一枚物の銅板をたたいてくぼみを出す。バーナーの火で板を焼いてはたたく作業を四、五回続け、一日にできるのはわずか二枚ほど。根気のいる仕事だ。まめやたこだらけの手が職人技の厳しさを物語る。
柔らかく加工しやすい銅は熱伝導もよい。鉄の鋳物ではコンロの火が当たる所だけ熱くなるが、銅鍋だと直接火が当たらない部分も均一に熱が伝わる。中身が固い「たこ焼き」と比べ、新鮮な卵と小麦粉のでんぷん「じん粉」を生地に入れ、中身が柔らかい明石焼きのうまみを引き出す。
近年は、機械を使った安価な鍋が出回るようになった。安福さんは「機械を使うと銅が伸びる分だけ薄くなる。手打ちは銅板を搾り出し、深さ、厚みが一様」と説明し、「手打ちの銅だからこそ、鍋の隅々まできちっと焼ける」と強調する。
こだわりは銅鍋にとどまらない。明石焼きを盛る「上げ板」と呼ばれる板皿にも気を配る。何度もひっくり返して焼く「たこ焼き」と違い、明石焼きは一回しかひっくり返さない。柔らかい明石焼きの形を崩さないよう銅鍋から上げ板に直接移すため、げたのように、上げ板の裏側に付ける持ち手の位置を使い勝手がよいよう何度も調整し、外注。店主らの声を聞き、片手でひっくり返しやすいよう、以前は二本付けていた持ち手を一本にした。
このため、テーブルに上げ板を置くときに傾きができ、盛り付けたときの見栄えの良さや、上げ板からの取りやすさを生んだらしい。
安福さんは「百円ショップなど、安ければよい方向に時代が変わってきた。買う人の見る目がなくなり、こだわりを持つ職人がいなくなった」と話し、「明石の名物を食べるだけでなく、学校や家庭で作る楽しみも増やしてほしい。後継者はいないが、体が元気なうちは仕事を続けたい」と本物にこだわり続ける。
(坂本 勝)
|