無念の思い いまも 震災11年前に追悼イベント

2006/01/16

 阪神・淡路大震災から丸11年を迎えるのを前に、武庫が丘の復興住宅で15日、追悼イベントがあった。住民の高齢化が進み、新たな課題が浮き彫りになり始めた同住宅。この日は、家族や自宅を失いながらも懸命に生きてきた人たちが、炊き出しをすすりながら「あの日」に思いをはせていた。(斉藤絵美)

 一九九七年に震災で住まいを失った被災者のために建てられた「武庫が丘高層住宅」。現在、約三百世帯六百三十人が入居する。うち、独居世帯が約二割の五十三世帯、七十歳以上の住民は百五十七人に上り、高齢者の孤独死が懸念され始めている。

 昨年からは、同住宅自治会が、高齢者を集めて茶話会を開く「見守り運動」を開始。今回の追悼イベントも「住民の集いの場にしよう」と、昨年に引き続いて同自治会が企画した。

 この日は、入居者約二百人が参加。冒頭で犠牲者たちに黙とうをささげた後、丸岡正一・同自治会長が「ようやくここでの生活基盤が固まり始めたように思う。これからは住民同士が交流を深め、災害に強い地域をつくっていかなければいけない」とあいさつした。続いて、市消防本部の職員が、心肺蘇生(そせい)法について実践を交えて講義した。

 会場では、同自治会や市民団体による豚汁が振る舞われた。寒空の下、入居者たちは炊き出しで体を温めながら震災の記憶を語り合っていた。

 神戸市長田区の自宅が全壊した寺本正子さん(70)は「寒くなると避難所で過ごした日々を思い出す。今はここで友達もできたが、何もかも失ってしまった、という無念の気持ちは十一年たっても変わりません」と涙をこぼしていた。

・特集「伝える 震災11年


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