社説

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 「18歳選挙権」が導入される今年、若者の政治参加がかつてなく注目されている。安全保障関連法に反対する大学生らの運動が脚光を浴びる一方で、若者の無関心や投票率の低さを嘆く声も根強い。だが、それは若者だけの問題なのか。「成人の日」に、あらためて考えたい。

 まず目を向けなければならないのは若者を取り巻く厳しい現実だ。

 新成人は、子どもの6人に1人が貧困という格差社会で育ち、非正規労働者が4割を超える中で就職活動に臨まねばならない世代だ。

 学生生活も気楽さとは程遠い。学費は高額化し、5割を超える学生が何らかの奨学金を借りている。低賃金で学業に支障をきたすほどの労働を強いられる「ブラックバイト」が社会問題化している。

 希望しない勤務シフトを強いられる。時給が最低賃金を下回る。ノルマが厳しい。無理だと断ればクビになる-。みんなが頑張っているのだから自分も耐えなくては、と1人が辛抱強く頑張るほど全体のしんどさが増す。学生バイトの悩みは働く人全てに通じる問題だ。

 昨年2月、関西の大学生たちが労働組合「関西学生アルバイトユニオン」を結成した。「耐える強さを変える力に」を合言葉に、一人で悩まず、力を合わせて現状を変えようと相談や団体交渉、学習会などに取り組んでいる。

 安保法についても「経済的に困窮した若者や学生が自衛隊に送り込まれ、戦闘に巻き込まれる危険はないか」と問題提起している。

 若者たちの切実な危機感を、考えすぎと切り捨ててしまわずに共有したい。

 このまま少子高齢化が進めば、高齢者の福祉や介護が重くのしかかり、消費税や年金、医療など個人負担は増すばかりだ。どこまで公費で負担すべきか。憲法に基づく平和の理念を現実にどう生かすか。先送りしてきた問題に全ての世代が向き合い、答えを出さねばならない。

 政治の“常識”に染まっていないからこそ、おかしいことはおかしいと声を上げる。あきらめずに行動できる若者の力は大きい。

 自分の生活は政治につながっている。そう気づいた若者たちの問題提起を真摯(しんし)に受け止め、よりよい未来につなげる。それは一足早く大人になった者の責任でもある。

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