「新学習指導要領」完全週5日制アンケート詳報 
(掲載日:2002/07/20)
 教科内容の三割削減などを柱とする新学習指導要領が、四月に導入されて三カ月。国公立学校では完全週五日制が併せて実施され、子どもたちの生活にも大きな変化がみられる。神戸新聞社の新指導要領アンケートの結果からは、小学五年生の半数近くが学習塾に通っており、土曜日を子どもだけで過ごすケースが、都市部では五人に一人強にも上っている実態が浮き彫りになった。子どものくらしには、大きな地域差もあった。(企画報道班)
 

◇新要領◇

児童の61%は肯定的/評価が分かれる保護者

 新学習指導要領では、教科の学習内容が従来に比べ約三割削減された。一方で、調べ学習を中心とした「総合的な学習の時間」(総合学習)が本格的に始まった。

 「良かった」「まあ良かった」と肯定的に評価する児童は計61%。「良くなかった」「あまり良くなかった」の計19%を大きく上回った。

 「良かった」理由(複数回答)としては、「総合学習が楽しい」(53%)「授業が分かりやすくなった」(38%)などが挙がったが、逆に「良くなかった」理由(複数回答)では、総合学習の導入で「図工・音楽などの時間が減った」(61%)が圧倒的に多く、総合学習自体が「面白くない」との回答も30%。また「授業がやさしすぎて物足りない」が19%あった。

 一方、保護者は「良かった」「まあ良かった」の計43%に対し、「良くなかった」「あまり良くなかった」も計31%と、評価は分かれた。「どちらでもない」も26%あった。

 「良かった」理由(複数回答)では「幅広い学力がつく」(68%)「先生の意欲や力量に期待」(21%)などが挙がったが、「良くなかった」理由(複数回答)も「学力低下が心配」(84%)「学校や先生によって差が出る」(55%)など、見方は対照的だった。

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◇5日制と暮らし◇

精神・経済的負担も/「地域と交流増えた」2割

 完全週五日制に伴う児童の日々の暮らしの変化について、児童と保護者に尋ねたところ、両者の回答には大きな開きが出た。児童は勉強やスポーツの時間が増え、充実した時間を過ごしていると感じているが、保護者はテレビ・ゲームなどの時間が増え、だらだら過ごしているととらえていた。

 だらだら過ごす時間は、「増えた」と答えた保護者が54%に上ったのに対し、児童は25%。「読書」「勉強」は、児童の四割強が「増えた」としたが、保護者はいずれも二割に満たなかった。

 五日制の狙いの一つである「地域の人たちとのふれあい」は、児童、保護者とも二割程度が「増えた」と答えるに止まった。

 「保護者の精神的・経済的負担」では、「増えた」が48%、「変化なし」は49%だった。

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◇学習塾◇

半数近くが「通う」/回数や時間も増加

 学習塾に通っている児童は47%(都市部49%、郡部44%)と、全体の半数近くを占めている。

 教科内容の削減で、保護者の間に根強い「学力低下」への不安。その影響からか、今年三月以前から塾に通っている児童のうち、34%が新要領が導入された四月以降に、塾に通う回数や時間を増やしていた。郡部に比べ、都市部の児童が回数、時間を増やした傾向が強い。

 塾に通う児童のうち、今年四月から新たに通い始めた子は、都市部では7%、郡部では23%。五年生になって新たに通い始めた子が、郡部に多いという結果になった。

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◇土曜日の受け皿◇

 「ある」は60%/大多数がスポーツ

 完全五日制の実施に伴う子どもたちの「受け皿」の有無を保護者に聞くと、二つ以上ある18%▽一つある42%▽全くない17%―のほか、「知らない」も23%あった。「ある」と答えた保護者に活動内容(複数回答)を尋ねると、「スポーツ」が79%と大多数を占め、続く「文化活動」は22%。実施頻度は「毎週かほぼ毎週」が69%に上った。

 受け皿の実施主体として期待(同)するのは「学校や自治体などの公的機関」が76%で、「保護者を中心に」は9%どまり。保護者の受け皿づくりへの関与については、かかわっている15%▽今後かかわりたい7%▽かかわりたいが余裕がない30%▽かかわっていない47%。

 児童が今後参加したい活動(同)は(1)スポーツ47%(2)おまつりなど地域のイベント27%(3)自然体験25%―の順。

「子どもだけで過ごす」16%

 毎週休みになった土曜日だが、家庭では共働きなどのため、「毎週、子どもだけで過ごしている」と答えた児童が全体の16%あった。特に都市部は22%で、郡部の10%に比べ倍以上の率となった。

 「子どもだけで過ごす土曜日はほとんどない」と答えた児童は、全体の58%だった。

<児童の声>

6時間目増えた/やりたいこと増えた

 ◇やりたいことが増えた

 ◇学校は楽しい。土曜日も行きたい

 ◇土曜日に(開放している図書室で)勉強や、本を読むことが多くなり、とてもよかった

 ◇土曜日が休みになっても、いつもの生活は変わらない

 ◇勉強が4年生の復習みたいな感じで、一部はとても簡単だ

 ◇総合学習は大好きだけど、教科書の内容が減ったのがすごく嫌。大人になったとき、頭が悪くなったら嫌だから、自分で勉強しなきゃだめだと思う。新指導要領は子どもを忙しくするだけだと思う

 ◇平日に6時間目が増えて、遊ぶ時間が少なくなった。少し残念

 ◇宿題が多くなった


<保護者の声>

学力低下が心配/家庭間での格差が出る

 ◇子どもは土、日とも、終日野球。好きなことができて喜んでいますが、月曜は、子も、付き合う家族も疲れ気味です

 ◇学校の疲れがとれたようです

 ◇子どもを家庭に返すための週5日制と聞きました。しかし、土、日に仕事がある家庭はどうするんですか。一緒に暮らせない親子も多いはず

 ◇働く親にとっては困ったこと

 ◇平日の帰りが1時間くらい遅くなった。遊び時間が減り、塾に行く時間もぎりぎり。クラブも2週間に1回に減り、楽しみではなくなったよう

 ◇学力低下が心配

 ◇私学との差が開き、結局苦しむのは子ども

 ◇経済的余裕のある家の子と、そうでない子との格差が広がる気がする

 ◇「勉強しなくてもよい」という意識が子どもにはびこらないか心配

 ◇遠足が校内レクリエーションに変わった

▼調査協力校は次の通り。各校で任意に五年生の一学級を選んだ。

 都市部=神戸市立宮本小▽同市立西須磨小▽同市立東町小▽西宮市立高須東小▽加古川市立志方東小

 郡部=猪名川町立松尾台小▽山南町立久下小▽南光町立三河小▽出石町立小坂小▽五色町立都志小

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