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第61回神戸新聞 平和、文化、社会、スポーツ賞 |
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2007/05/03
◆平和賞◆
身体障害者野球チーム 「ハンディ」を個性に 鍛え上げられた片腕から放たれる鋭いライナー。不自由な足を踏ん張ってのダイビングキャッチ。グラブを外し、素早くボールに持ち替えて送球する動きは流れるようだ。 身体障害者野球チームのパイオニア「神戸コスモス」。体に障害のある人たちが、ハンディを個性に変え、それぞれのスタイルでプレーする。 編成時からチームを率いる岩崎広司監督(57)は「障害を負うほどのアクシデントに遭遇しても、あきらめない。残った機能を生かして全力を尽くし、互いの弱い部分を補い合う。そのひたむきな姿を見てほしい」。気迫あふれるプレーは多くの人に勇気を与える。 自身も十七歳のとき、骨髄炎で左足を切断した。入院していた療育施設の仲間に呼びかけ、一九八一年にチームを結成。まだ身障者野球への認知度は低く、練習場や試合相手の確保にも苦労したが、各地の施設を訪ねるなどして輪を広げた。 日本身体障害者野球連盟の発足や全国大会開催にも尽力。野球仲間と協力し、盗塁やバントの禁止、打者走者に代走を認めるなどの独自ルールを確立した。 公式戦百連勝、全国大会十連覇を達成し、身障者野球の強豪に育ったコスモス。昨年十一月には、身障者野球の初の世界大会が神戸で行われ、コスモスのメンバーが日本代表の主力として活躍し、初優勝に貢献した。 「身障者野球界全体で受賞したと受け止めています」と岩崎監督。「障害がある児童たちにも、グラウンドで仲間と笑顔になれる喜びを感じてほしい」。白球を追ういちずな思いは、未来へと向けられている。 (佐藤健介) ◆文化賞◆
音楽評論家 関西の人材に光を 「音楽、特にクラシックの素晴らしさを、社会に認めてもらいたい。ただそれだけだった」 評論活動に身を投じて約四十年。知名度は全国的だ。若く優れた才能の発掘、音楽文化に貢献する組織の紹介にも力を注ぐ。評論の枠を超えた活動を、自身も「半分評論家、半分ジャーナリスト」と受け止めている。 特に地元・関西の音楽家を取り上げる際、その筆は一段と熱を帯びる。 「関西の音楽的環境は東京と比べて不利。せっかくの優れた人材に、もっと光を当てたい」 幼いころから、蓄音機にすがりつくようにして音楽を聴き、物心ついたころには、クラシックは生活の一部だった。ラジオ関西でクラシック番組を中心に手掛け、退社後に評論家に転じた。 「無我夢中で書いてきた。おかげで、これといった専門分野のない“何でも屋”。中世やバロックの音楽を、もっと勉強したかった」。苦笑いしながら、歩みを振り返る。 客観的な立場を貫くため、演奏家との個人的な付き合いは避け、行政に対しても、遠慮なく辛口の指摘をしてきた。 「正義を気取る気はないが、事実に目をつぶるわけにはいかない。書きたい通りに書くのが私の信念」 (藤本賢市) ◆社会賞◆
自主防災組織 絆こそライフライン 阪神・淡路大震災をきっかけに一九九八年六月、大規模マンション「加古川グリーンシティ」(加古川市加古川町平野)の七棟五百八十四世帯が参加する防災組織として結成された。 絆(きずな)が希薄になりがちな集合住宅のコミュニティーを密にし、防災力や地域力を高めることで住民の安全安心を図ろうと、さまざまな取り組みを続けてきた。 テーマは「防災を『防災』と語らずにできる」「楽しみながらの防災活動」がモットー。災害時の助け合いに生かせるように住民の特技や資格を一覧にした「町内チャンピオンマップ」▽災害時の対処法を明記した「命のライセンス」―など、次々と個性的な取り組みを実施してきた。 また、災害図上訓練(DIG)の定期実施、自動体外式除細動器(AED)の導入や講習会開催、自主防災組織として県内初の防災井戸設置など、常に全国の取り組みの模範となっており、その功績が評価され、昨秋には国の「防災功労者内閣総理大臣賞」に輝いた。 大西賞典会長(45)は「コミュニティーこそがライフライン―が取り組みの原点」と振り返る。「次代へ『伝える』と言うことを、より広い地域でどのようにできるのか考え続けていきたい」 (藤家 武) ◆スポーツ賞◆
陸上競技選手 世界視野に決意新た 昭和最後の年、小野市で産声を上げた女の子が、日本陸上中距離界の歴史を変えた。 昨年五月の国際グランプリ大阪大会千五百メートル。須磨学園高校三年の小林祐梨子さんは無心で海外選手に食らいつき、フィニッシュラインを駆け抜けた。4分7秒87の日本新記録。ヒロインは会心の笑顔でフラッシュを浴びた。 日本人離れしたキック力、腰高のフォーム、力強い腕の振りで国内トップへの階段を一気に駆け上がり、「スーパー女子高生」と呼ばれた。九月には自らの日本記録を更新し、十二月のアジア大会では銀メダルを獲得。大舞台で発揮する勝負強さが頼もしい。 海外との実力差が歴然とある中距離種目。「だからこそ千五百メートルにこだわり、世界で戦えるようになりたい」。これまで日本選手が避けてきた勝負に真っ向から挑もうとしている。狙うは今夏の世界選手権大阪大会だ。 「受賞を励みに、もっと上を目指したい」と決意も新た。四月の兵庫リレーカーニバルではグランプリ千五百メートルを大会新記録で快勝し、社会人として好スタートを切った。地元の観客に見せたのはとびきりの「祐梨子スマイル」。兵庫発、世界へ。その輝きに、だれもがあこがれる。 (藤村有希子) [ HOME ] |
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