神戸新聞社の新聞製作システムは、大きく分けると、記事や写真を専用回線などを通じて受け取り、社会部、運動部、文化生活部など出稿部門のデスクが編集する「素材管理」のシステムと、出稿された記事や写真、広告などを実際の紙面に割り付ける「組版」のシステムがあります。「組版」でつくった紙面は、神戸市西区と西宮市の2つの製作センターに送信し、印刷します。
障害が起きたのは、日本電気(NEC)が開発した組版システムの中の、記事や写真、発行前の紙面の情報などを格納する「組版データベース」でした。組版データベースは、大量の情報を厳密に管理し、迅速に呼び出して編集を行うために、トラブルが少なく、障害が起きても復旧の手順などに定評のある「オラクル社」のソフトが採用されています。
本社の組版システムは、組版サーバー(コンピューター)を2系統にし、データベースの磁気ディスクも二つのグループに分けて同時に書き込みを行うなど、1系統で障害が起きてもバックアップできる設計になっています。
しかし、今回はこのバックアップも機能しませんでした。その原因は、組版データベース内部の動作にありました。
新聞製作システムは、日々の夕刊、朝刊編集に迅速な動作が要求されるため、朝刊編集の作業が終了する未明に、データベースのデータの最適化作業を行ったあとシステムを終了します。
最適化作業の際、組版データベースの記憶装置内に一時的に設けられた領域に、作業量が多い場合など、ごくまれに情報が書き込まれることがあります。今回は、この情報が偶然にもその日最後の更新履歴となりました。一時的領域ですから、再起動時に前日の更新履歴と記憶装置内を照合すると、データが一致しないため、ソフトがエラーと誤認識し、再起動できなくなってしまったのです。
組版データベースの記憶装置は安全のために多重化していますが、データは完全に一致させていますので、不一致も両系統で同時に起こりました。バックアップシステムが機能しなかったのはそのためです。
日本オラクル社は「複合的な条件が重なった極めてまれなケースで、開発の際の想定になかった。過去にも同様のトラブルが起こっていた可能性はあるが、報告例はない。解決へ向けて急ぎ検討を進める」としています。