妻子犠牲、失業…ボランティアで笑顔 神戸の西角さん

2006/01/17

 春を思わせる日曜日となった十五日、神戸市兵庫区の工員西角良一さん(56)は同市中央区の東遊園地で竹の荷降ろし作業に取り掛かっていた。竹は阪神・淡路大震災から十一年となる十七日、犠牲者を追悼するつどいの会場で「1・17」の文字を形作る灯籠(とうろう)となる。

 震災でアパートがつぶれ、八年の交際を経て結婚した妻真由美さん=当時(45)=と、虫捕りが好きだった小学一年の二男拓弥君=同(7つ)=を同時に失った。

 追い打ちを掛けるように二○○一年秋、業績が悪化した勤務先の鉄工所から解雇された。妻亡き後、男の料理教室に通って覚え、食卓に並べていた手料理は安いレトルト食品に変わった。条件の合う仕事は見つからず、もともと好きだった酒の量が増えていった。

 「嫁と息子に会いに来た」。ぽつりと言った言葉を、震災遺族らでつくる特定非営利活動法人(NPO法人)「1・17希望の灯(あか)り」代表の堀内正美さん(55)がそばで聞いていた。「追悼のつどいの準備を手伝ってくれませんか」。

 竹やぶに入って竹を切り出し、富山県から運ばれた雪を固めて鎮魂の雪地蔵を作る―。ボランティア活動を通じて新たな生きがいと人とのつながりができた。「ここには、いろんな人がいる。立ち飲み屋のようで楽しい」。そろいの「希望の灯り」のジャンパーを着た西角さんに笑顔が戻った。

・特集「伝える 震災11年


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