JR脱線負傷者らの「ブログ」急増 ネットで励まし

2005/05/16


過去の教訓が生かされず、やり切れない思いをつづったブログ。事故を受け、ネット上に急増している

 尼崎JR脱線事故をめぐり、インターネット上の日記形式サイト「ブログ」が急増している。JR西日本の責任を問うものや鉄道の安全性に関する意見など、市民や鉄道ファンらが発生直後から次々と立ち上げた。日がたつにつれ、生々しく体験を振り返ったり、救助に当たった近隣住民らに感謝する負傷者をはじめ、事故をより身近に受け止めた人たちも目立つようになった。各サイトには読者からの感想も寄せられ、共感の輪が広がっている。(石沢菜々子、長尾亮太)

 「その瞬間は『恐い』というより、『負けるもんか』という感じだった」

 三日後にブログを開設したOL(23)は、通勤で四両目に乗り軽傷を負った。自力で車外に出た後は、腰が抜けたようになってしばらく動けなかった。ようやくたどり着いた会社で、心配した上司らに囲まれた。

 「人の温かさと生きている喜びを感じた、ほんとに」

 国内外から約三十件の共感や励ましの声が寄せられたという。その一人である女性(44)は、大阪市内の仕事の取引先に勤めていた友人を亡くした。

 「PTSD(心的外傷後ストレス障害)になるかもしれないから、書いた方がいいよ」

 自分にも言い聞かせるようにOLへメッセージを送った。この女性もブログの作成者で、友人の通夜に行く前、自分の気持ちを落ち着かせるために「信楽の事故で何も学んでいない」などとやり切れない思いをつづった。

 一両目で負傷したという十九歳の男子大学生は、「風化させてはいけない。今後何をすべきか。決意を新たにするために事故現場に行き花をささげ、お祈りをした」と自身のブログに書いた。

 すると、「事故を人ごとには思えず、何かできることがあれば私も協力したい」。通学で同じ線を使う学生が申し出た。

    *  *

 JR西日本への批判が集中する中、三年前に突然夫を亡くしたという女性は「今は遺族にもっと心を寄せるべき。非常時に求められるのは絶望や批判ではなく、人に対する優しさ」と強調した。「二度と事故を起こさないためには、公平な網羅的な検証が必要」とも。次々と共感の声が届き、鉄道関係者と名乗る読者は「対岸の火事とせず、自分たちなりに安全を考えたい」と応えた。

 命の尊さを訴えるブログも多い。事故現場の手前で急停車した北近畿3号の乗客だったという女性は「被害に遭う遭わないは紙一重。命の大切さを教えられた」。

 事故に衝撃を受け、仕事帰りの深夜に献花台に駆け付けた男性は「今まで以上に命を大切に、しかし、もっと完全燃焼したいと思った。犠牲者の魂の分まで―」などと心境をつづった。


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