|
井手相談役「社員教育機能せず」
2005/05/18 辞任の意向を示したJR西日本の井手正敬取締役相談役は十七日、神戸新聞社の単独インタビューに応じ、尼崎脱線事故について「社員教育が有効に機能していなかった」との考えを示した。旧国鉄改革の要の一人で一九九二年から社長や会長を歴任。京阪神の主要路線を整備し私鉄に対抗する一方、多角化を進め事業基盤を築き上げただけに、同社を「井手商会」と呼ぶ声もあるなど、影響力は大きい。一問一答は次の通り。(小林由佳) ―民営化で利益追求に走るあまり、安全をおろそかにしていたのでは。 「違う。民間企業として収入を上げ、利益を出すことは当然だが、鉄道会社の根幹は安全だ」 ―だがJR他社に比べ新型ATSの設置が遅れるなど、安全投資はかなり見劣りがする。 「旧国鉄の投資は首都圏に集中し、JR西は(本州のJR三社中で)最も遅れたまま民営化された。不利な状況の中、経営資源を有効に使い、優先順位をつけながら着実に進めてきたつもりだ。宝塚線の新型ATSはたまたま遅れてしまった」 ―事故の背景に組織面の問題があったのでは。 「JR発足から十八年が過ぎ、現場に甘えと気の緩みが出ていたと思う。自分の部署さえ良ければと、組織全体を考えない風潮を感じた。社員教育も昔の滅私奉公でなく今の個人主義に合う形にすべきで、有効に機能しなかった面もある。もっと早く変えるべきだった」 ―企業風土は自らが醸成したのでは。 「民営化のころはある意味、野戦。(自分は)ワンマン、独裁者にならざるを得なかった。だが今は多くの役員、社員に権限を委任する時代。後継者にもそう託している。安全を常に大事にする点は変わっていない」 ―懲罰的な社員管理の背景に、労使関係のいびつさも指摘されている。 「民営化の目的の一つは、労使関係の改革だった。ストで現場が荒廃した旧国鉄末期のような状態に戻してはいけないと腐心してきた。今の労使関係は平穏だと思う」 「安全に絶対はあり得ず、永遠の目標。常に努力し続けるのが、経営者の使命だ」 [ 閉じる ]
Copyright(C) The Kobe Shimbun All Rights Reserved |