尼崎で脱線事故を起こした電車に乗り合わせていたにもかかわらず、救助に当たらなかったJR西日本尼崎電車区の運転士(27)と森ノ宮電車区の運転士(59)の手記を、西日本旅客鉄道労働組合が十八日、公表した。「ご遺族の皆様へ、おけがをされた皆様へ」と題し、「残って手助けをしていれば助かった方もあったかもしれず、悔やみきれません」などと直筆で記している。全文は次の通り。
尼崎電車区運転士
ご遺族の皆様へ、おけがをされた皆様へ
この度の事故で多数のお客様がお亡くなりになり、またおけがをされ、JRの社員として本当に申し訳なく思っています。
事故が起こった時、大きな衝撃と共に体が後ろの方に飛ばされ、一瞬何が起こったのか分からずパニック状態でした。警察の方が車内に来られて線路横の駐車場に誘導されてからもしばらく放心状態で何が何だか分かりませんでした。駐車場にいた時も、マンションの方向は見えず、こんなに大きな事故が起こっているとは思いませんでした。
今、落ち着いて考えると、自分の仕事が気になったといっても事故の現場ではお客様の救助をしないで現場を離れたことはJRの社員としても、又、ひとりの人間としても無責任であり、本当に申し訳なく思います。
亡くなられたお客様のご冥福とおけがをされたお客様の一日も早い回復を心よりお祈りします。
森ノ宮電車区運転士
福知山線脱線事故について
私は四月二十五日九時十八分ごろに発生した脱線事故の時に乗車していた運転士です。
亡くなられた方々のごめい福をお祈りし遺族の方々に対し本当に申し訳なく負傷者の方の一日も早い回復を願っております。
懸命に救助にあたっていただいた警察、消防関係者をはじめ近くの工場の方、一般の方に申し訳なく心痛む毎日です。
私が乗っていたのは四号車で、車内で本を読んでいたため急ブレーキがかかり脱線するまでわかりませんでした。電車が停車するまで床に座りこんでしまい停車してからわれに返り、これは普通の事故ではなく大変な事故だと感じすぐに当直に電話してから下車し、前方から見たところ一号車(実際は二号車)がマンションに寄りかかって倒れ、その後に二号車があると思っていました。三号車も脱線していましたのでことの重大さを感じ、当直に電話し負傷者多数と報告しましたが、一号車、二号車があれほどまでに壊れているとはその時はわからず後でテレビ・新聞などで初めて知りました。
結果的に当直の指示により出勤してしまいましたが、いかに現場を見て気が動転していたといえ、現場に残ることができなかった判断の甘さとこれでいいのかという思いが出勤の途中に何度もあり、時間がたつにつれ、日ごろから安全と人命を守ることを教えられていながらできなかったことは一人の人間としての愚かさ、悔しさ、後悔がますます強まり心苦しい毎日です。平穏に暮らしている方々が一瞬の事故によりすべてを失われてしまいました。亡くなられた方、残った遺族の方、負傷された方に対して、小さな力ですが私が残って手助けをしていればあるいは助かった方もあったかもしれず悔やんでも悔やみきれません。
私の行動は非難されても仕方のない行動で大変申し訳なく思っております。
今後も私は一生この重い荷物を背負っていかなければならないし二度とこのような事故を起こさないようJR社員一同が一丸となり信頼回復に努めなければならないと思っております。