時刻表へこむまで指さし確認 京橋電車区が「点数兵」

2005/06/03


1点から5点まで細かく点検ポイントが示された「チェックシート」

 尼崎JR脱線事故で、死亡した高見隆二郎運転士(23)が所属していた京橋電車区の係長らが、運転士の動作を細かく点数評価する「チェックシート」を作っていたことが、二日までに分かった。指さし確認の指やひじの伸び具合などで五段階評価する中身で、懲罰的な再教育「日勤教育」を指示する根拠にもなっていた。国交省にJR西日本が出した「安全性向上計画」にも盛り込まれた日勤の改善。いじめの温床にもなったと指摘され、今後計画の実効性が問われるなか、形式的ともとれる労務管理が同社内でどう推移するかが注目される。

 「京橋電車区基本動作チェックシート2」。信号確認や喚呼(声だし確認)など五項目について一―五点で採点する表になっている。係長らが客に紛れて運転を点検する「客室(裏面)添乗」などで使用し、列車番号や運転士名に加え、感想を書き込む欄もある。

 「時刻表の確認動作」では、運転士が指で押さえる時刻表表面の状態によって「へこんでいる」(五点)、「へこんでいない」(四点)、「流れている」(三点)、「指さしになっている」(二点)、「確認動作をしていない」(一点)と分類。

 「信号の確認」では「目標に向かって腕、ひじ、指がまっすぐ伸び、喚呼が終わるまで下ろさない」が五点で、「二の腕を動かさずに指先のみ」が二点。「確認時の視線」も「喚呼が終わるまで離していない」「喚呼の途中で離れている」と細かく区別している。

 喚呼の声を「走行中でもハッキリと聞こえる」「走行中かすかに聞こえる」と聞こえ具合によって差をつけ、点数を書きこめるようにしている。

 こうした評価については、客観的評価が難しい上、運転士側から反論は許されず、同電車区のある若手運転士は「基本動作のチェックはボーナス査定に影響する。日勤教育を受けさせたい運転士への狙い撃ちの意味もある」と打ち明ける。

 JR西が示した安全性向上計画は基本理念に「風通しの良い職場づくり」を掲げるが、現場では形式的な評価のあり方が信頼関係をゆがめているという声が強い。

 厳しい労務管理の実態から「計画を受けて職場環境が変わるかどうか…」と実効性を疑問視する声もあり、企業の体質改善が問われている。(霍見真一郎)


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