個性派漫画家の作品出版で注目 明石の幻堂出版
2002/08/17

 とかく本の売れない時代、1人のリストラされた男性が営む明石市別所町の「幻堂出版」が、出版界の注目を集めている。取り扱うのは、知る人ぞ知る個性派漫画家の作品集。多彩なとじ込み付録や欄外のパラパラ漫画など、造本にも遊び心がたっぷり。さらには漫画作品を映画化し、オリジナルビデオまで作ってしまう。全国に根強い固定ファンを持つ“幻の本”、その魅力とは?(記事・平松正子)

 編集、発行、営業を手掛けるのは中野茂さん(50)。中学時代にガリ版印刷を始め、詩作サークルの会報などを発行。一方で二十歳ごろから八ミリ映画を自主制作してきた。印刷会社、映画館などで働いていたが、一九九九年にゲームセンターを経営する会社でリストラに遭い、心機一転、出版業に専念した。

 これまでの主な刊行物は、淀川さんぽ、鈴木漁生、うらたじゅん、森元暢之らの作品集。有名ではないが、漫画好きには熱烈に支持される作家ばかりだ。本の中には、豆本やカルタ、すごろくなど、昔懐かしい付録を挟み込む。ほかにつげ義春原作の紙芝居風アニメ「八ミリ劇画・ねじ式」などのビデオ作品もある。

 二〇〇〇年秋には、季刊ならぬ“気刊”の「何の雑誌」を創刊。「気が向いたときに作り、面白いモノは何でも載せる」方針で、漫画やエッセー、詩を収める。初版は千五百部だったが、すぐに五百部増刷。十月には、約一年ぶりとなる待望の第五号を出す。

 中野さんのライフワークは、長年愛読してきた伊丹市在住の漫画家川崎ゆきおさんの作品をまとめること。このほど、その画業三十周年を記念した作品集を五年がかりで完成させた。代表作「猟奇王」シリーズの最新作や映画化ビデオ、直筆サイン色紙など十五点を詰め込んだ、幻堂の面目躍如たる一作だ。ほとんど宣伝していないが、北海道や沖縄からも注文が相次いでいるという。

 中野さんは「売れる売れないは度外視し、個人的趣味を最優先して作っている本だが、同好の読者に喜んでもらえるのはウレシイ。いいモノを持っているのに世に出られない作家が多い中、ウチの本や雑誌で後押しができれば」と話している。幻堂出版TEL078・922・7476

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