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ゾウの「諏訪子」が還暦 神戸市立王子動物園 2003/01/22 神戸市立王子動物園で飼育されている国内最高齢の雌のインドゾウ「諏訪子」が今月、「還暦」を迎えた。人間だったら約百歳。芸を覚えず邪魔者扱いされたこともあったが、阪神・淡路大震災も乗り越え、いまも来園者に鼻を振る。園内の桜並木も諏訪子のふんを肥やしに大きく育ち、動物園の歴史そのものだ。 飼育係を引退した亀井一成さん(72)=神戸市西区=は振り返る。諏訪子は一九五○年、前身の諏訪山動物園に来園。当時は地方興行の収入が頼りで、別の雌ゾウ「摩耶子」はラッパ吹きなどが評判だった。諏訪子にも芸が教え込まれたが、覚えようとしなかった。 五一年に王子動物園が開園後も興行は続き、芸のないゾウを市の幹部は「役立たず」とののしった。しかし摩耶子は十七歳の若さで急死。「芸達者ゆえの過度な興行が死期を早めた」と亀井さんは涙を流した。その日を境に動物園は諏訪子への芸の調教をやめた。 五七年冬、諏訪子の元に「太郎」が婿入りした。亀井さんは「姉さん女房の諏訪子が太郎を尻に敷いていた」と笑う。子宝には恵まれなかったが、九四年に太郎が死ぬまで、二頭は幸せそうに連れ添った。 九五年の大震災。余震におびえる諏訪子の悲鳴は近隣に響き渡った。けがはなかったが、それ以来、表に出ることを怖がるようになったという。 新しいゾウ二頭を迎えた現在、諏訪子は「役目を終えた」と安心したのか、獣舎で一日中過ごす。それでも来園者が声を掛ければ、長い鼻を動かして応える。まだまだ人気者だ。 諏訪子を担当した飼育係は二十人を超える。動物園に立ち並ぶ桜を見上げ、亀井さんは「人も木も、この動物園は諏訪子が育てたようなものだ」と話す。 [ 閉じる ]
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