安全は買う時代? 防災シェルター人気
2003/05/16
自分で守る
防災シェルターを設置する家庭が、国内でじわりと広がっている。神戸市内には、国内唯一の専門会社があり、最近五カ月間で八百件の問い合わせが殺到するなど、予想を上回るペースで契約が進んでいるという。不安定な国際情勢や震災への懸念が背景にあるとみられ、販売業者は「何が起きても不思議ではない、という認識が広がっているのでは」と話している。(足立 聡)
芦屋市の自営業男性(67)の自宅地下。重さ一トンの扉の向こうに、厚さ四十センチのコンクリートで囲まれた二十四畳の空間がある。一平方メートル当たり十トンの力に耐え、外気が千二百度になっても室温は三度上がるだけ。
揺れ幅五十センチの激震にも耐えるため、基部がしっかりした男性の自宅は、阪神・淡路大震災で周りの家が全半壊する中、ひび割れ一つなかったという。
シェルターは、スイスでは全戸設置が義務付けられ、米国の普及率は四割を超えるが、日本では年間に四―五基売れる程度だった。
国内で唯一、シェルターを専門に販売している神戸市垂水区、「織部精機製作所」=織部健二社長(50)=には、二〇〇一年九月の米中枢同時テロ以降、問い合わせが増え始めた。昨年十一月―今年三月は約八百件。このうち「三件あればいい」と思っていた成約数は三十件を超えた。
売れ筋は一千万円以上の地下式だが、自宅の一室を改造して一定の強度や気密性を保つ簡易式なら二百万円からあるという。マンション業者が「安心」をPRするために、新築物件に設置する例も増えている。
織部社長によると、最近購入を決めた男性は「南海地震も心配だし、朝鮮半島の情勢も気になる」といい、別の男性は「原子力事故の可能性もある」と話したという。
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