非常勤講師の苦しい生活 阪神圏大学労組が調査
2003/08/03

 年収二百八十七万円、半数近くが「雇い止め」(契約を更新しない)を経験、年金面で不安―。不安定な雇用条件で働く大学や短大の専業非常勤講師の実像が、個人加盟の労組「阪神圏大学非常勤講師労働組合」などの調査で明らかになった。バブル崩壊後の経営難や少子化による学生の定員割れを理由に、待遇は厳しさを増す一方で、同労組は「安上がりな教育労働者として扱われている現状を訴えたい」としている。(竹内 章)

 現在、私大で非常勤講師が担う講義(九十分)は全体の40%、多い大学では60%に達するといわれる。専業非常勤講師は、全国で二万数千人と推測され、ほとんどが一年契約。不安定な身分を強いられているが、国は実態すら把握していない。

 同労組は首都圏、京滋地区の非常勤講師組合と連携して、アンケートを実施。四百八十二人(男性二百八十人、女性二百二人)の声をまとめた。

 専業非常勤講師(三百二人)の平均像は四十二歳で経験年数十年。二・七校を掛け持ち、担当する講義数は週九・一(一三・七時間)だが、準備や片付けを含めると、週四十三時間労働になる。

 年収のうち二十九万円を授業・研究関連で支出しているが、補助はなくほとんど自腹。「科目がなくなった」「講義のコマ数が減った」などの理由で、半数近い百四十二人が「雇い止め」の経験があると答えた。

 また、九割近くが、賃金が安すぎる▽厚生年金に加入できない▽研究者として扱われない―などの不満を持っていた。アカデミック・ハラスメントへの訴えもあり、「論文の発表を差し止められた」「新年度の一カ月前に担当授業を取り上げられた」という声もあった。三地区の労組は大学側や国に対し、待遇改善を求めている。

 阪神圏大学非常勤講師労働組合の書記長、内藤義博さん(48)は二十年間、複数の大学で仏語の非常勤講師を掛け持ちしている。「同じ業務をこなしながら、研究費などで専任教員との大きな格差がある。こうした状況に非常勤講師を追いやる大学教育の現状を知ってほしい」と話している。

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