「引きこもり」で向精神薬の誤用多発 神戸の内科医調査
2004/03/29

 不登校や出社・就労拒否など社会との接触を絶つ引きこもりに、向精神薬「リタリン」依存症が広がっている可能性の高いことが、二十九日までに、神戸市の内科医の調査で分かった。問診を通じて調べたもので、患者の三分の一が服用。依存症に見られる乱用者も認められた。副作用として不眠や不安感が増す恐れもあるため、「引きこもりの支援団体や家族会などに資料を公表し、リタリンの危険性を訴えていきたい」としている。(津谷治英)

 同市北区で開業する小川良一医師。昨年四月、頭痛や身体のだるさを訴える慢性疲労症候群の疑いがある引きこもり男性の診察を機に、二月までに関西、関東を中心に引きこもりの男女四十六人を診察した。

 問診の結果、十七人(37%)がリタリンを服用。医師が指示した量の倍を乱用したり、十年近く服用し続けて止められなくなっているなど、大半に依存症と思われるケースが認められた。

 リタリンはうつ病やADHD(注意欠陥多動性障害)などに効果があるとされる。だがうつ病に関しては不安、緊張症状の悪化といった副作用や、乱用する依存症になる可能性があるため、処方する医師は少ない。

 今回、小川医師の患者で、医師から副作用について十分な説明を受けた上で処方されていた(インフォームド・コンセント)のはわずか三人だった。

 小川医師は「引きこもりに多い不安、緊張には逆効果ともいえる。時には興奮性を増し、家庭内暴力に発展する可能性もある」と警告。「服用している人は医師の説明を受け、他の治療を検討するきっかけにしてほしい」と話している。

処方は適切でない

 精神科医・幸地芳朗さん(兵庫県立光風病院精神科部長)の話 リタリンの薬物依存は増加傾向にあり、社会問題にもなっている。現在、うつ病には他に効果的な薬が開発されており、処方する医師は少ないと思われる。引きこもりに処方するのも適切ではないだろう。

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