|
肩寄せ合い耐えた 舞鶴バス水没 2004/10/21 泥水に囲まれながら、乗客たちは肩を寄せ合って九時間を耐えた。京都府舞鶴市で道路冠水のため、豊岡市職員OBら三十七人が乗る観光バスが水没し動けなくなった事故は、二十一日、夜明けとともに救出作業が始まった。バスの屋根にいた乗客らをヘリコプターでつり上げるなどして全員を救出。「歌ったりしながら励まし合った」。病院に運ばれた乗客らは寒さに震えながら恐怖の一夜を振り返った。 ヘリによるつり上げは午前六時すぎに開始。濁った水の上に辛うじて浮かんだように見えるバスの白い屋根に、乗客が身を寄せ合いしゃがんでいた。屋根に降り立ったヘリの乗員が乗客を一人ひとり慎重にロープで結び、つり上げていった。 病院に運ばれた豊岡市野田の団体職員西村勉さん(62)は「屋根に上がったのはぎりぎりのタイミングだった」と話した。 二十日午後八時過ぎに車内に水が入ってきて、窓をハンガーで割り屋根に避難した。水位が上がるのは速く、最後の人は水に顔をつけながら屋根に上がったという。 屋根の上では、カーテンで作ったロープを握って肩を組み、助けを待った。一時は腰まで水が来た。「上を向いて歩こう」を一緒に歌い、励まし合った。西村さんは「夜中には周囲は真っ暗に。足先で屋根の縁を確かめて、互いに体をさすった。携帯電話の通じる人から『夜明けに救助が来る』と聞いていたが、ヘリの姿を見たときは、皆で喜び合った」と話し、毛布にくるまれて病院に入った。 乗客の井尻英樹さん(63)=豊岡市木内=の妻美代子さん(60)はテレビニュースで夫らの救出を知った。「心配で眠れなかった。全員元気で本当に良かった。ありがとうございました」と話した。自宅は円山川沿いにあり、農作業場が浸水。マイカーを出すこともできず、舞鶴の病院へは長女に行ってもらうという。 [ 閉じる ]
Copyright(C) The Kobe Shimbun All Rights Reserved |