被災地に支えられ初冠に挑む プロゴルファー古市忠夫
2004/01/17

ドライバーショットの飛距離は250―260ヤード。フォローの風で280ヤード飛んだことも=2003年10月8日、加西市油谷町、青野運動公苑アオノGC
 9年前に被災、神戸市長田区で営んでいたカメラ店と自宅を焼失した。復興とボランティア活動に奔走して一念発起。2000年秋、2度目の挑戦で日本プロゴルフ協会(PGA)資格認定プロテストに、59歳11カ月の史上最年長で合格した。被災地から誕生した還暦プロゴルファー古市忠夫(63)。昨年、33年続けた消防団活動に区切りをつけたが、今も長田区の若松町11丁目自治会長として地域活動に励む。今年初の「ふれあい喫茶」があった11日、「支えられている」という地域や同窓生、ゴルフ仲間を招き交流した。本業では昨季、PGAシニア(50歳以上)ツアーの賞金ランキング21位になり、30位以内に与えられる今季のシード権を獲得。予選なしでシニアツアー6大会に出場できる今年、古市はツアー初優勝を目指す。(記事・写真 山中英夫)

 ―シード権を得た。

 古市 ものすごくうれしいこと。夢のシード権。シニアツアーは毎年、新しく強い50歳が入ってくる。プロになり、出場することがどれだけつらいことかわかってきた。

 ―なぜ好結果が出る?

 古市 自分でもわからないほど、持てる力の3倍、4倍が出る。地域に支えられている、生かされている―というのが心にある。ふれあい喫茶に来て喜んで帰ってくれる人、みんなでええ町つくろうという気持ち、これが活力源になっている。

 ―震災で何が変わった。

 古市 価値観が体の中で変わっていった。大事なものはお金やモノや名声や地位ではないんやと。大事なことは人を思いやる、いたわる、感謝、友情、積極性、勇気。

 ―勇気とは。

 古市 何事にもくじけず頑張ることだけが勇気やと思っていた。真の勇気は頑張れることへの感謝。みんな頑張っているもん。俺だけ違う。頑張れることへの感謝の気持ちに気づいてから、ものすごいパワーが出てきた。

 ―感謝とは。

 古市 感謝の気持ちは人の心を大きく、美しく、そして強くする。ここへたどりついた。自分がどんどん成長しているのは、その感謝の気持ちがどんどん、体の中、心の中で膨らんでいるから、自分が大きく、強くなっていくのだと思う。

 ―なぜ、囲む会を?

 古市 勇気をもらう皆さんに少しでもお返しがしたかった。人間一人の力って本当に小さい。地域や同級生、がんばろう会のおかげ。昨年末に声をかけ、2週間で97人集まった。自分は個々のグループは知っているが、みんなはそれぞれを知らない。家族も紹介したい。

 ―プロになって練習時間が減ったのでは?

 古市 5分の1に減ったが、みんなに支えられて3倍、4倍の力を出して成績を残せるということは、自分の突き進んでいる方向、ものの考え方は間違っていないという証明だと考えている。これを一プロゴルファーとして証明していくのが古市忠夫の使命だと思う。

 ―震災9年について。

 古市 時間的な経過、区切りではない。みんなで早くいい町を、災害に強い町を、人にやさしい町をつくらないかんという思いは変わらない。

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