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十分加熱し、冷まして詰める
新緑が美しく、吹き抜ける風がさわやかだ。だが、この季節を迎えると、探偵には気掛かりなことが一つ。それはランチ用のお弁当。毎朝せっせと作っているが、気温と湿度がぐんぐん上がる夏場にかけて、はしを付けるまでに腐らないか心配だ。おなかを壊さないためにも、ちゃんと知っておきたい。傷みにくいお弁当作りのポイントは?(松本寿美子)
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| 中身を冷まして詰め、梅干しは散らして…=神戸市内 |
▼細菌をなくす
これからの時期、お弁当の一番の大敵は何なのか?
「それは食中毒の原因となる細菌・食中毒菌です。食中毒菌は、栄養分とは別に、温度、時間、水分の三要素がそろったときに増殖します」とは、武庫川女子大学(西宮市)の生活環境学部教授、松浦寿喜さん(食品衛生学)。「細菌の増殖を抑え、死滅させることが重要です」
それには、一体どうすればいいの?
松浦さんは「十分な加熱。これに尽きます」と強調。「食中毒菌の種類にもよりますが、菌が増殖するのに最も好む温度は二五―四五度。でも七五度以上で一分間加熱すれば、大抵の食中毒菌は死滅します。死滅させれば、増殖もしません」と言い切る。
一方、菌が付着していても、すぐに食中毒が起こるわけではない。食中毒菌の数量が問題で、ここで「時間」がかかわってくる。細菌の種類やもともとの付着量、増殖の速さにもよるが、症状が出やすいのは食中毒菌が十万個―数千万個と多量になったとき。保存状態など細心の注意を払い、一般的には六時間以内に食べるのがいいという。
松浦さんは「食べ物の色やにおいで判断しようとする人がよくいますが、これでは本当のことは分かりません。とにかく加熱を。前日の作り置きも、レンジで必ず再加熱しましょう」と力を込める。
▼水分を飛ばす
では、食中毒菌が増殖するための残る条件、「水分」はどうか?
「水分はできるだけ飛ばすこと。それには、料理を冷ましてからお弁当箱に詰めることです」とは、ベターホーム協会神戸教室(神戸市中央区)の横井葉子さん。温かいまま詰めると蒸した状態になり、ふたなどに水滴が付く。これが菌を増殖させる要因に。ご飯もおかずも必ず皿などに広げ、素早く冷ましてから詰めるのが肝心という。
さらに、横井さんは「おかずは汁気のないものがベター。いり煮や揚げ物はお薦め。葉もの野菜のおひたしはよく絞り、すりごまを混ぜれば汁気を吸ってくれますよ」とアドバイス。生野菜は、なるべく使うのを避けるとともに、使用する際はペーパータオルで水気を切るのがいい。また、生野菜でもレタスなどは、お弁当箱の仕切り代わりに使われることが多いが、これは禁じ手だとか。
▼手や器具を清潔に
食中毒菌は何も食材だけでなく、手や調理器具にも潜んでいる。
「肉や魚を切った後のまな板と包丁は必ず熱湯消毒するか、別のもので使い分けを」と、武庫川女子大教授の松浦さん。「手もきれいに。傷口には必ず黄色ブドウ球菌がいる。増殖する際に毒素を出すが、これは加熱してもなくならない厄介もの。手や調理用具を清潔にし、食べ物に付着させないことが重要です」と話す。
このほかにも秘(ひ)訣(けつ)が何点か。ご飯を炊く際に少量の酢を混ぜたり、バルサミコ酢などを使っていため物をしたりすれば、傷みにくくなる。
また、「梅干しを一つ入れれば腐りにくくなる」とよくいわれるが、これは間違い。梅干しには確かに抗菌作用はあるものの、効果を発揮するのは、ほぼ触れている部分だけ。どうせなら、手で細かくして、お弁当に散らそう。
結局、傷みにくいお弁当の作り方は非常にシンプル。要は「加熱、水気を切る、冷まして詰める、そして清潔に」。これらを守り、さらにお弁当は涼しい場所に。
自分用に作る人も、誰かに作ってあげる人も、くれぐれもご注意を。
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