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生活様式の変化など影響
探偵が小学生だったころ。始業式前夜には、学校に提出するぞうきんを、母親がミシンで縫うのが恒例だった。ゴトゴトというミシンの音は「明日から学校」というワクワク感とともによく覚えている。ところが今は、ぞうきんを買って子どもに持たせる家庭が珍しくないという情報をキャッチした。ホントに?(溝田幸弘)
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| 市販のぞうきん(手前の3枚)。昔ながらの手縫いに比べて絵柄が豊富=神戸市内 |
▼多い既製品
神戸市内のある小学校の教室。子どもたちのいすの下部に、ぞうきんが一枚ずつぶら下がっている。
一目で手作りと分かるぞうきんがあれば、規則正しい縫い目に、名札が付いた市販品もある。中には青やピンクのカラフルな既製品も。「市販品を持参させる家庭は多い」と校長。
同市内の別の小学校。三年生のクラスの児童三十五人のうち、市販品を持参しているのは十九人、家で縫ってもらったものを持ってきているのは十六人で、既製品が多かったという。うーん、かつては手作りばかりだったぞうきんだが、時代の流れか、購入する人は確かに増えているよう。
保護者はどう考えているんだろう? 何人かに聞いてみた。
まずは手縫い派。「もらったタオルがたくさんあるので」と、神戸市垂水区の主婦(48)。同区の別の主婦(48)は「親がひと手間かけることは、子どもとのつながりにとっても大切なこと」と強調する。
一方、「今年初めて購入した」と話すのは、小四と小一の子ども二人を持つ同市東灘区の主婦(43)。「通信販売で十枚三百円ほど。安さに驚いた」といい、「真っ白できれいだし、子どもはむしろ喜ぶかも。来年以降も買うと思う」と話す。彼女の周囲では、子どもの年齢が上がるにつれ、なぜか手作り率が下がるのだそうだ。
▼裁縫の機会も減少
そもそもぞうきんを家庭から学校に提出する習慣は、いつ、どうして始まったのだろう。
兵庫県立大経済学部(神戸市西区)助教授の柏木敦さん(教育学)は「校舎の近代化に伴い、自然に広まったのでは」とみる。
戦後、鉄筋校舎が主流になり、床のワックスがけなどでぞうきんが大量に必要になったため、先生たちが家庭に協力を呼び掛けたのが始まりではないかという。
ではなぜ手縫いが減ったのか。真っ先に思いつくのは、百円ショップの台頭だ。冒頭の小学校長によると、市販のぞうきんが増え始めたのは十五―二十年前。これは百円ショップが増え始めた時期と重なる。
また、「ぞうきんのためだけにミシンを引っ張り出すのは面倒」という母親の声も。共働きの家庭が増え、裁縫をする機会も減るなど生活様式が変化。百円ショップの広がりとともに、「ぞうきんを買う」という行為が認知されていったのではないだろうか。
▼市販品でも「大事に」
市販品と手縫いのぞうきん、機能的に差があるわけではない。ただ、市販品だと、子どもと保護者の精神的なつながりが薄れるのでは―。
そんな心配をしていると、前述の三年生の担任から興味深い話が。「一人の児童が『お店で買ったぞうきんでも、親が働いて買ってくれたものだから大事に使いたい』と話してくれた」。市販品であっても、親とのつながりを感じる子どもはいるのだ。
とはいえ、「手縫いで子どもとのつながりを確かめたい」という保護者の考えに、妻が第一子を身ごもっている探偵は同感。しかし、市販のぞうきんは確かに安いし、効率的だし、魅力的なのは間違いないが…。
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