() (2) () () (掲載日:2001/10/30)
 国内初の狂牛病となった乳牛の感染経路は未解明だが、「肉骨粉」が入った飼料がクロとの見方が強い。牛の骨や内臓などを原料とする肉骨粉は以前から豚や鶏への飼料として使われてきたが、多くの消費者にとっては耳にするのも初めての言葉。異常プリオンの「運び屋」とされる肉骨粉についてまとめた。

 ◇肉骨粉とは

 牛や豚、鶏など食用動物から、食肉となる部分を取った後には、大量のくず肉や脳、内臓、骨などが残る。それらに熱を加えて脂肪を除き、圧縮乾燥させ、細かく砕いてつくる。栄養価が高く、トウモロコシやふすま(小麦皮のかす)などと混ぜて家畜の配合飼料としたり、肥料やペットフードの原料にもなる。肉骨粉は畜産のリサイクルに一役買ってきたわけだ。

 ◇感染源?

 狂牛病は、肉骨粉に混じった異常プリオンが小腸内の免疫組織から吸収され、脳や脊髄(せきずい)、眼球などに蓄積して発症すると考えられている。

 ◇最初に発生した英国での取り組みは

 発生から二年後の八八年七月、牛などの反すう動物から製造された感染源とみられる肉骨粉を牛に与えることを禁止した。ところが豚や鶏には禁止していなかったため、一部の農家が牛のえさに転用して使っていた恐れがあり、牛への感染や、汚染されたえさを新たに作ることになったと考えられている。

 また汚染された可能性のある肉骨粉は、フランスやドイツなどEU各国のほか、日本などアジアにも輸出されていた。

 ◇その後の経過

 英国政府は、人への感染の可能性を認め、パニックが起きた九六年三月、すべての家畜(羊、ヤギ、豚、鳥、魚など含む)に対して、肉骨粉をえさとして与えることを禁止した。EUも九〇年代後半に、オランダやベルギーなどヨーロッパ各国で相次いで狂牛病が発生したため今年一月、肉骨粉の全家畜への使用を禁じた。

 ◇日本も使用禁止

 牛のほか鶏や豚からつくる肉骨粉も家畜への使用が全面禁止となっている。具体的には、農林水産省が十月四日にすべての国からの肉骨粉の輸入を停止、国内産についても肉骨粉の製造や販売、家畜に与えることを禁止した。つまり、現在は肉骨粉の流通がストップしている。

 ◇魚のえさにもなっていたのでは

 県水産課は「県内二漁協三業者への聞き取り調査の結果、養殖魚に肉骨粉は与えていない」と話す。

 飼料安全法では、ニジマス、アユ、ブリ、ウナギなどは「家畜」に含まれるため、今回、これらに肉骨粉を使うことも禁止された。しかし、農水省の見解は「魚を通して狂牛病が感染することは今のところない」。

 ◇もっと早く禁止 できなかったのか

 そこが悔やまれる。英国の狂牛病発症を受け、農水省は九六年に肉骨粉を牛に与えないよう行政指導を始めた。しかし、豚や鶏への使用については従来通りだったため、一部で肉骨粉入り飼料を牛に転用した農家もあった。英国の失敗が繰り返されたわけだ。

 輸入の規制も進まなかった。九六年のパニックをきっかけに英国からの肉骨粉輸入を禁止したが、今年一月にEUからの輸入を禁じるまで、欧州の狂牛病発生国からも輸入が続いていた。

 ◇千葉県の感染 ルートの解明は

 感染牛は北海道の牧場で生まれ、千葉の酪農家のもとへ移ったことが分かっているが、双方とも肉骨粉を意図して与えたことはないと主張。使っていた飼料のメーカーも配合を否定している。

 ◇そもそも、なぜ牛に与えていた?

 「もともと草食の牛に肉骨粉のような動物性タンパク質を与えるなんて邪道だ」

 三原郡三原町で肉牛約七十頭を育てる杉本勇さん(68)は憤る。畜産農家だけでなく、酪農家の間でも肉骨粉への抵抗感は強い。しかし、肉骨粉は値段が安い上に「乳の出が良くなる」などとも評されていた。

 農水省の調査では、全国で約五千百頭の牛に肉骨粉などの動物性タンパク質飼料が使われていた(十月二十五日時点、兵庫県内はゼロ)。「飼料メーカーが肉骨粉を混ぜていれば、知らない間に使っていることもあり得る」と県内のある畜産農家。自衛策は「信頼できるメーカーから飼料を買う。あまり安いものは選ばない」。

 ◇飼料の今後は

 農水省は、現場で牛の肉骨粉が混入する可能性がなくなった時点で、狂牛病の感染源の疑いがない鶏と豚の肉骨粉に限って、飼料への使用を部分的に解禁する方針だ。具体的には、鶏の肉骨粉や豚の血などを原料としたえさを、牛以外の家畜に与えることを容認できないか検討している。

 ◇肉骨粉類からは肥料も製造されていたが

 肥料の原料として使用される肉骨粉類のうち、最も量が多いのは蒸製骨粉という品目だが、国際基準(133度、20分、3気圧)以上の条件で処理、製造されており、安全性が高い。現にEUでも肥料は規制の対象外。今回の一時停止は、肥料に含まれる肉骨粉類が誤用や流用で牛に与えられることを防ぐ念のための措置。

 ◇作物にうつらないのか

 植物がプリオンを吸収するといった報告はこれまでなく、動物性タンパクであるプリオンが植物の中で増殖することはないため、科学的に安全と考えられている。

 ◇他の肥料使えば

 肉骨粉類を原料にした肥料は、リン酸質を多く含む。作物に対してじわじわ効くという化学肥料にはない優れた特性を持っている。また同じ有機肥料でも油かすなど植物性のものとも成分比が違うため、簡単には代用できないという。

 ◇肥料の今後は

 国は飼料用、肥料用を問わず、すべての肉骨粉の使用を禁じているが、肥料については今後、豚を原料とする肉骨粉に一定条件を付けて、使用を解禁する方針だ。

 誤用や流用を防止するために、豚・鶏向け飼料を牛に与えたり肥料を飼料として家畜に使った場合、罰則が適用されることも決まっている。

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