| 肉や牛乳はもともと安全性が確認されている。加えて18日から、食肉処理される牛については全頭検査で厳しくチェックされているにもかかわらず、消費者の不安はなぜか払しょくされない。あふれる情報の中、誤解も少なくない。信頼をどう築いたらいいのか。米や野菜のような、生産者の「顔」が見える商品づくりも始まっている。 |
|
もともと、牛肉をはじめ、乳や乳製品は安全とされている。これは、家畜伝染病を国際的に監視する国際獣疫事務局(OIE)が、マウスへの感染実験の結果を基に発表した。このほか同事務局によると、牛皮から作られたゼラチンとコラーゲン、タンパク質を含まない獣脂なども安全。 日本では十八日に食肉処理される牛の全頭検査がスタート。この日から、危険部位とされる脳、目、脊髄(せきずい)、小腸の先端部はすべて焼却処理されることになり、市場には出回らなくなった。つまり、店頭に並ぶ肉や内臓は安心。 ◇学校給食は? 県教委によると、完全給食を実施する県内八十四市町のうち、牛肉使用を中止しているのは五十三市町。いったん中止したが、再開を決定したのは四市町。牛乳をやめた例はない(三十日現在)。 県食肉事業協同組合連合会は全頭検査が始まったことで「安全性はさらに確認された」と牛肉解禁を求めているが、県教委は「十一月のメニューは既に決まっており、再開するにしても十二月からになるのでは」とみる。 ◇「背割り」とは? 牛の背骨に沿って刃物を入れる解体作業。県内の食肉処理場は電気ノコギリを使う。その際に、危険部位とされる脊髄が飛び散って肉や器具類を汚染するのではないかとの指摘があるが、県生活衛生課は「一頭ごとに器具を洗浄しており、危険は回避できる」とする。 姫路市食肉センターは「病原性大腸菌O157が問題になったときから器具類の洗浄は徹底的にやっている。今回、脳に打ち込む道具も一頭ずつ変えるようにした」と話す。 ◇商品の情報は 九〇年の自由化以降、牛肉の自給率は下がり、現在は六割以上が輸入もの。米国と豪州が二分し、九六年から原産国が表示されている。昨年改正された日本農林規格(JAS)法では、生鮮食品への原産地表示が義務付けられ、国内生産分については、「国産」と表示できるようになった。 とはいえ、消費者が安全性を確認しようにも、牛肉の流通経路は複雑で畜産農家までたどることは極めて困難。現在の店頭表示では、消費者が得られる情報はごく一部。 ◇飼育過程オープンの商品もある コープこうべは、生産者団体と連携、安全性にこだわった生鮮品を「フードプラン」と銘打ってアピールしている。 例えば「鹿児島黒毛和牛」。繁殖から肥育まで一貫飼育を行い、飼育全期間、成長促進ホルモンは一切禁止▽生後約九カ月から出荷までの約二十カ月間は抗生物質を除いた飼料を与え、病気予防の合成抗菌剤も不使用―などの安全管理を徹底。肥育面も、生まれて四時間以内に子牛に初乳を与える▽干し草やわらを多く与える▽飼料用穀物は非遺伝子組み換え―などの条件が付いている。 一頭ずつデータ管理されており、商品になってもバーコードを基に、牛が特定され病歴や投薬歴も直ちに判明する。 「農場と食卓を結ぶ試み。安心・安全という付加価値だけでなく、国内畜産業を守る取り組みとして広めたい」(文化・広報部)と話す。 ◇食肉業界にも同様の動きがある 全国食肉事業協同組合連合会が九八年に始めた「生産者の顔が見えるモデル店舗事業」がそれ。生産農家に始まり、処理、卸し、小売業者が肉の銘柄や特徴などの情報を共有。店頭には牧場の写真も掲示する。 食肉連に加盟する約一万店舗のうち行っているのは約千百店舗。県内では三十九店とまだまだ少ない。食肉連は「流通には多くの業者が携わっており、情報共有のルートを確立するのは容易ではない」と話す。 ◇詳細な情報を 七〇年代から食品を中心に消費者運動を続けている「安全食品連絡会」(山中純枝会長)。英国でパニックが起きた九六年、畜産の安全性について勉強会を重ね、食肉センターや畜産農家の現場を見学した。肥育にかかるコストが高い日本では、自然に近い形で育てるには手間も時間もかかるという実態を目の当たりにした。 国はすべての牛に識別番号を付け、流通経路や治療歴などがすぐに解明できる追跡システムの整備を検討中だ。が、生育歴、給餌(きゅうじ)歴などの情報を消費者向けに表示することには「個々の小売業者が取引先の間で交わすべき事項であって、国としての対応は困難」(農水省)という。 「選択権は消費者にある。国は知り得る情報を開示すべき。生産者や流通業者も抗生物質やホルモン剤の使用の有無、程度を商品に明記してほしい」と山中さんは望んでいる。
|
|
|
|
Copyright(C) 2001 The Kobe Shimbun All Rights Reserved
|