「歯」の話題
(掲載日:2004/09/06)
糖尿病と歯周病 互いに悪影響 
 糖尿病が歯周病を悪化させることは以前から指摘されてきたが、歯周病も、血糖のコントロールを阻害し、糖尿病に悪影響を及ぼすことが分かってきた。歯科医は「両方を並行して、早い段階で治療を始めることが大切」と呼びかけている。(佐藤由里)

抵抗力弱まり細菌が繁殖 必ず平行治療を

 歯周病は、歯と歯茎の間に歯周病細菌が入って歯茎が炎症を起こす病気。進行すると歯を支える歯槽骨などが溶け、最終的に歯が抜け落ちてしまう。患者は四十代以上に多く、日本では、成人の八割がかかっているといわれる。

 一方、糖尿病は、血液の中のブドウ糖の濃度である血糖値が上がる病気。糖の代謝に必要なインスリンが欠乏したり、正常に機能しなくなって発症する。インスリンの摂取が必要な1型と、生活習慣が深くかかわる2型があり、2型の増加が懸念されている。進行すると目の網膜や腎臓、心臓の疾患を発症する。

■変わる認識

 糖尿病は多くの合併症を引き起こすが、口腔内への影響も例外ではない。糖尿病になると、歯周病細菌に対する抵抗力が弱くなる。さらに、口の中が乾いて唾液が持つ浄化作用が弱まる。このため、口腔内に細菌が停滞しやすくなり歯周病の進行につながる。

 また「歯周病もひどくなると、全身の健康に悪影響を及ぼす」と勝谷歯科医院長の勝谷芳文さん(姫路市)。歯槽骨など深層組織まで広がって重症化すると、口腔内で細菌が増殖し、歯茎では炎症性サイトカインと呼ばれる炎症を引き起こす物質が大量につくられる。

 これまで、この物質や歯周病細菌が気道や血液を通って全身に移動し、肺炎や心疾患などを引き起こす可能性は指摘されていた。これに加え、近年、インスリンの作用を阻害し、糖尿病を悪化させることも明らかになってきた。

 このため、以前は、まず糖尿病治療を優先し、免疫力を安定させてから、歯周病の治療に集中すればいいと考えられていたが「両方を並行して治療しないと、双方とも効果を得られない」という認識に変わってきている。

■放置は禁物

 だがいまだに、どちらかを放置しているケースも目立つ。歯科では、治療の際、糖尿病を患っているかどうかを問診するが、糖尿病の認識があるのに治療をしていない人が目につくという。「糖尿病を治療しないと、歯周病の改善には限界がある。治療をすると違いははっきりと現れます」

 五年間、糖尿病を放置していた四〇代の男性は、糖尿病の治療を始めると、歯肉がひきしまって健康的な色になり、歯周病がぐんと改善した。

 だが、歯周病が良くなっても、糖尿病を患っていると、細菌の塊であるプラークを取り除くプラークコントロールをきっちりとしなければ、再発しやすいので注意が必要だ。

 だが、最も大切なのは、予防。歯周病は、毎食後に必ず歯を磨き、歯間ブラシや糸(デンタルフロス)で、磨き残した食べかすなどを取り除く。プラークコントロールを習慣づけることで、発症を防ぐことができる。

 勝谷さんは「早目の治療が大切。糖尿病など歯周病のリスクが高い人は二カ月に一度、健康な人でも半年に一度は検診を」と話している。

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