文化
亡き妻の歌集を出版 神戸の画家、吉見敏治さん
「鎮魂の思いを込めて歌集を出版した」と話す吉見さん=神戸市内 |
遺歌集「一酌の水」 |
一昨年末、妻の時子さん=当時(66)=を病気で亡くした神戸市長田区在住の画家吉見敏治さん(77)が、時子さんが生前に詠んだ短歌などをまとめ、遺歌集「一酌(ひとしゃく)の水」として出版した。(三上喜美男)
時子さんは二十九歳で短歌を始め、神戸の六甲短歌会に参加。短歌の全国大会の会計を務めていたが、自宅で急に倒れ、呼吸不全で亡くなった。
鉄道会社勤務や労働運動の傍ら、独学で突き進んだ吉見さんの画家人生。戦後の新しい表現を目指した「自由美術協会」に所属し、抽象的な絵画を追求した。最大の理解者は「一番のファン」を自認する妻だった。
「いずれ二人の作品を一冊の詩画集に」。その約束は、突然の別れで果たせなくなった。いつも横にいた人がいない心の空白…。「せめて妻が生きた証しを」と、短歌会の協力で約四百首を選び、本にすることに。時子さんが好きだった緑色や紫でカバーの絵を描き、装丁も自ら手掛けた。
一酌の水にひととき沈まれり松風の音雑念の声
本の題にした歌が、優しさの中に強さを秘めた妻の人柄を表していると思う。「残された歌を読み返すたび、今も一緒にいる気がするんです」
歌集は五百部出版し、希望者には一冊二千五百円で提供する。吉見さんTEL078・732・5565
(1/22 11:36)

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