文化
“心の震災復興”童話に 神戸の作家、畑中弘子さん
震災を題材にした童話を出版した畑中弘子さん=加古川市内 |
阪神・淡路大震災で被災した神戸市北区在住の児童文学作家畑中弘子さん(65)が、震災を乗り越えてたくましく生きるおばあさんの姿を描いた童話「ワルルルさん」を出版した。自宅の被害は小さかったが、神戸市長田区の惨状を前に何もできなかったという歯がゆさから「震災の話を書けなかった」という畑中さん。初めてつづった物語を通じ「前向きに生きることの大切さを伝えたい」と話している。(宮本万里子)
畑中さんは震災発生の日、同市北区の自宅マンションで被災。自宅は一部損壊だったが、すぐ南の同市長田区は炎と黒い煙に覆われていた。その光景を見ていることしかできなかった畑中さんは「わたしは何をしているのか。まるで高みの見物だ」と感じ、自責の念にかられたという。
その後、何度も震災を題材に作品を書こうとしたが、その都度断念。五年前、被災しながら前向きに生きる在日韓国人の女性を描いた舞台を見たのを機に、強くたくましい女性を描く童話を創作し、「心の復興」を伝えることを思い立った。
字が読めないおばあさんワルルルさんが主人公。「ワルルル」は韓国・朝鮮語で物が壊れるときの音を表す。朝鮮半島から日本に来たワルルルさんが、貧困や差別、震災に負けず、明るく生きる姿を、小学生の少女來未(くみ)の目を通して描いている。
「まちの復興は、懸命に生きる人々の心の復興に支えられる」と畑中さん。「困難も前向きな努力で乗り越えられるという思いを、ワルルルさんを通して伝えたかった」と話す。
A6判、二百四十ページ。千四百七十円。くもん出版TEL03・3234・4001
(2/10 09:29)

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