文化
賀川豊彦、林喜芳らの作品と生涯に迫る 神戸で企画展
「イオム同盟」の同人たち |
戦後の姫路で結成されたアナキスト詩人集団「イオム同盟」、常に地べたからの視点で生活を切り取った林喜芳(きよし)、そして社会事業に尽くしながら多くの詩作も残した賀川豊彦。彼らの作品と生涯に迫る「リアリズムの詩人たち展」が十-十五日、神戸市灘区原田通三の原田の森ギャラリーで開かれる。(平松正子)
イオム同盟は一九四七年、向井孝、山口英、柳井秀による詩誌「IOM」の創刊に始まる詩文学運動。後に高島洋、生田均、崎本正が加わった。会話的口語で明瞭(めいりょう)、的確に書き、詩以前の思想を探求。五七年に「定本IOM同盟詩集」を発行し、結成時の「盟約」に従って十年間の活動を完結した。
「露天商人の歌」で知られる林喜芳(一九〇八-九四年)は神戸・東川崎町生まれ。高等小学校を中退後、市役所給仕、印刷工、露天商人、占い師など職を転々とした。十代半ばから詩作を始め、五十一歳での初詩集「露天-」で一躍有名に。以後、生まれ育った新開地界隈(かいわい)の風俗などを精力的に詩やエッセーに書きつづった。
神戸での貧困層の救済活動開始から丸百年を迎える賀川豊彦(一八八八-一九六〇年)は、自伝的小説「死線を越えて」など膨大な著作の中に、詩集四冊が含まれる。与謝野晶子の序文のある「涙の二等分」や「永遠の乳房」など、詩作には賀川の人道主義や博愛精神があふれている。
本展では著作や雑誌、写真、原稿、書簡などで彼らの思想を伝える。企画担当の松尾茂夫・県現代詩協会副会長は「時代は異なるが、賀川の世界連邦運動などはイオムのエスペラントへの取り組みにも通ずる。一方、林は自らの人生を詩とし、社会に向き合った。華やかな神戸モダニズムだけでなく、底辺を支えた詩人たちも知ってほしい」と話す。
現役の詩人らの絵画作品などを集めた「ひょうご詩画展」、県内の詩誌三十一誌を紹介する「兵庫・詩の現在展」も同時開催。十四日午後二時からは、詩人たかとう匡子さんによる講演「リアリズムの深淵-林喜芳と高島洋を中心に」がある。無料。同ギャラリーTEL078・801・1591
(3/10 11:01)

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