文化
スタインウェイピアノの魅力つづる 神戸の調律師
著書「スタインウェイピアノのゆくえ」を手にする〓田(ばんだ)耕治さん=神戸市内(撮影・峰大二郎) (注)〓は、石へんに番 |
米国のスタインウェイ社が十九世紀末から一九七〇年ごろにかけて生産したビンテージ・ピアノの魅力をつづった本「スタインウェイピアノのゆくえ」が出版された。調律師で、同社の楽器の修理、販売を手掛ける日本ピアノサービス(神戸市東灘区)社長の〓田(ばんだ)耕治さん(75)が執筆。「残響時間が長く、音が厚く豊かに響く」というビンテージ・ピアノの特徴や、欧州と米国の楽器制作環境の違いなど、幅広いテーマを取り上げている。(藤嶋 亨)
スタイン社は一八五三年設立。同社のピアノはホロビッツやグールドらの世界的ピアニストに愛され、中でも十九世紀終盤から一九七〇年ごろにかけて作られたビンテージ・ピアノは根強い人気がある。
〓田さんは中学時代から父親のピアノ修理工場を手伝い、兵庫県立御影高校卒業後、日本楽器製造(現・ヤマハ)に入社。調律や組み立て技術を身に付け、六六年に現在の会社の前身、日本レンターピアノを設立した。
スタインウェイとの出合いは終戦直後。「ボロボロの状態でも、例外なく素晴らしい音がよみがえる復元力」に驚き、のめり込んだ。
〓田さんによると、七〇年以前のピアノは鍵盤をたたいてから音が出るまでに一瞬のずれがあり、それが「立体的な音を作り出していた」という。しかし七二年以降、大手放送局や楽器メーカーによる買収が繰り返され、「スタイン家が誇りを持って守ってきた技術が失われた」とみる。
近年は弾きやすさを追求し、鍵盤から弦に振動を伝える機構部分の摩擦抵抗を減らしたため「やせた音の組み合わせにしかならない」と指摘。「このままではビンテージの良さが忘れられてしまう」という危機感から筆を執った。
著書では、欧州のピアノが宮殿や城内での演奏を前提にしているのに対し、スタインウェイは屋外や大ホールでの演奏を想定し、遠くまで音が届くように設計されていることも紹介。「欧州のような歴史や伝統が米国になかったからこそ、進歩的なピアノが生まれたのではないか。高い技術で作り上げたピアノの実力を知ってほしい」と力を込める。
一四二九円。日本ピアノサービスTEL078・453・2121
(注)〓は、石へんに番
(4/14 11:20)

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