〈君の手に届けと放つ白い鳩〉。「神戸新聞文芸」選者の渡辺美輪さんらがつくる「現代川柳研究会」(神戸市中央区)が、東日本大震災に寄せる句集「明日への祈り」を出版した。16年前の被災地から、いま苦難に相対している東北へ。人間の生を見据える川柳の言葉に、思いの限りを託している。
同会は、2007年に他界した川柳作家・時実新子さんの志を継ぐ形で、08年に川柳誌「現代川柳」を創刊。阪神・淡路大震災直後に、時実さんの主宰誌「川柳大学」会員らが出した句集「悲苦を超えて」にならい、今回の出版を即断したという。
3月20日付で刊行した「現代川柳」第18号で、誌友らに投稿を呼び掛けたところ、宮城県や福島県を含む全国各地の116人から、600を超す句が寄せられた。被災地発の切迫した声に幾多の祈りが重なり、震災後の日本人の心模様を映し出す一冊ともなっている。
〈漆黒の海へ我が子の名を叫ぶ〉 宮城・山河舞句
〈ある日凶器に変わる壁の裏切り〉福島・安斎みぎわ
〈火葬待ちの番号札は二〇九〉宮城・浮千草
〈頑張るひとに頑張れなんてむごすぎる〉西宮・坪井篤子
〈私を召しませ海を汚したのは私〉大阪・夕凪子
〈明日と書き希望と読んで生きて欲し〉神戸・中野文擴
「悲苦を超えて」を読んで川柳作家の道へ進んだ渡辺さんは「阪神・淡路の体験では推し量れない被害だと承知している。それでも川柳だから、神戸だからできることがあると信じたい。16年前、確かに川柳に救われた。今度は私の番です」と話している。
句集は千円、送料200円。申し込みは住所、氏名、電話番号を書き、「現代川柳」編集部へファクス(078・413・2787)で。
(平松正子)
(2011/05/20 13:00)
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