阪神間にも甚大な損害を与えた1934(昭和9)年の室戸台風を、学校災害の視点からとらえたドキュメント「災害が学校を襲うとき」を、尼崎市の水堂須佐男神社宮司で作家の上村武男さん(68)が出版した。(田中真治)
上村さんの父は、台風発生時に尼崎尋常高等小学校に勤務。木造校舎が倒壊し、同僚と子どもら計16人が死亡した惨事の様子を詳細に書き記していた。
「若い父に大変な衝撃を与えた地域の災害を、記録として残したい」。阪神・淡路大震災で、記録し伝えることの意義を肌で感じたこともあり、学校資料を図書館などで探し、被災校を訪ねた。
教え子をかばって犠牲になった教員が各地にいる一方で、父の勤務校のように、被害を過小に偽ろうとして混乱を招いた学校もあった。校舎の鉄筋コンクリート化が進む契機にもなったという。「現在にも通じる学校の災害問題が、このときクローズアップされたことが分かった」
台風の全体像についても、文学作品などを多く参照して多角的に迫る。執筆中に東日本大震災が発生。「また同じことが繰り返された」と感じた。「災害の全体像は、時間がたたないと見えにくい。過去を知ることで、警鐘になれば」と話している。
創元社刊。四六判。162ページ。1260円。
(2012/02/23 09:15)
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