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無数の青い点は人。時間の経過とともに北へ移動する。徐々に津波が押し寄せ、JR以南の大半が浸水した(芦屋避難シミュレーションから)
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無数の青い点は人。時間の経過とともに北へ移動する。徐々に津波が押し寄せ、JR以南の大半が浸水した(芦屋避難シミュレーションから)
「芦屋避難シミュレーション」の発表練習をする芦屋高校ボランティア部員ら=芦屋市宮川町
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「芦屋避難シミュレーション」の発表練習をする芦屋高校ボランティア部員ら=芦屋市宮川町

 スクリーンに映し出されたJR芦屋駅以南の地図。無数の青い点が散らばり、時間の経過とともに北へ移動する。しばらくすると、海側から徐々に青色が濃くなり、またたくまにJR以南の大半を覆った。(石川 翠)

 青い点は「人」を表している。南海トラフ巨大地震が発生した場合、同市の死者は142人(夏の正午)、津波の最短到達時間は111分とされる(いずれも県想定)。それまでに避難できるのかを検証する「芦屋避難シミュレーション」(芦屋浜を除く)を、県立芦屋高校(宮川町)ボランティア部が、「構造計画研究所」(東京)の開発したシミュレーションソフトウエア「artisoc(アーティソック)」を使用して作成した。

 きっかけは、2014年夏、東日本大震災の被災地ボランティアに訪れた仙台市内の海岸沿いで、案内役の男性が口にした言葉だった。「この地域は避難訓練の効果で人的被害が少なかった」

 同校では年に3回、避難訓練を行っているが、震災未経験の同世代の意識は高いとは言い難い。「仙台にならい、避難訓練の大切さを実感してほしい」。同校数理科学研究部との合同プロジェクトが始まった。

 市防災安全課の協力を得て、人口などシミュレーションに必要なデータの提供を受け、人が津波避難ビルに逃げたりする動きは構造計画研究所社員の手を借りながら制作した。

 また、南部の住民がJR以北に逃げると設定し、避難経路を確認するため市内を歩いたり、近隣住民から阪神・淡路大震災時の避難状況を聞き取ったりして、条件づくりに反映した。

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 散らばった青い点(人)は主要避難経路である三つのルートに集まり、北上していく。平面上の簡易なものだが、視覚的に分かりやすく、一度見ると危機感を持つ。

 昨夏、1期生(3年生)が引退。引き継いだ2期生(2年生)がプログラミングをさらにバージョンアップさせている。

 目標地点をJR以北から近くの津波避難ビルに変更し、発生から20分以降に順次避難し始める動きを取り入れた。青い点も人型になった。今後は高齢者や障害者などの「要支援者」の移動条件を追加していく。

 2期生は昨秋、同校周辺の宮川町の住民向けに発表会を開いた。多くの質問や意見が寄せられ、顧問の大西亜矢教諭は「震災を知らない世代の言葉に、経験者が熱心に耳を傾けていたことが印象的だった」と振り返る。さらに精度が高まれば、市のホームページに掲載される予定になっている。

 震災21年を前にした今月9日、交流を続ける宮城県立多賀城高校の生徒が同校を訪れ、互いに活動報告や意見交換した。芦屋高校ボランティア部の部長、田中芳乃佳さん(17)は「『伝えて繋(つな)げる』をテーマに掲げている。先輩から引き継いだ思いを形にして発信していきたい」と話す。

 【「artisoc(アーティソック)」】 プログラミング初心者でも簡単に扱えるシミュレーションソフトウエアとして、2003年に「構造計画研究所」が研究者と共同で開発。災害避難に限らず、買い物客の行動など人間の動きや相互作用などを再現できる。教育機関には無償貸与もしており、ソフトを使用した研究論文のコンペティションの開催もしている。

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