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大北裕教授
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 先月末、大阪・梅田で乗用車が暴走した事故で、運転していた男性=死亡当時(51)=が発症していた大動脈解離。男性は数時間前まで仕事をしていたが、突然に大動脈が破綻し、意識がない状態で事故を起こしたとみられる。大動脈解離はどのような病気なのか。神戸大学付属病院の心臓血管外科医、大北裕教授に聞いた。(山路 進)

 大動脈は、心臓から体の中心部を通り、脳や肝臓、腎臓などの主要な臓器に血液を送っている。心臓から上へ伸びる部分を「上行(じょうこう)」、湾曲した部分を「弓部(きゅうぶ)」、その先を「下行(かこう)」と呼ぶ。通常の直径は2・5~3センチで、血管の壁は内膜、中膜、外膜の3層構造になっている。

 大動脈解離は、最も内側にある内膜が裂け、血液が中膜を破壊しながら流れ込む状態。元の血管の「真腔(しんくう)」に加え、新たにできた「偽腔(ぎくう)」にも血液が流れ、さまざまな症状を引き起こす。

 大動脈の一部が拡大して破裂などを起こす「大動脈瘤(りゅう)」と合わせ、2014年の死者は1万6403人、全死因のうち9位を占める。

 

 ▽痛みが移動

 大動脈瘤は、動脈の弾力性が失われる「動脈硬化」が主な原因で、高血圧や高脂血症、喫煙、糖尿病などがリスク要因とされる。大動脈解離の発症には、高血圧や遺伝性の疾患などが関わっているとされるが、詳しい原因は未解明という。

 ほとんどが突然に胸や背中に激痛が走るという。症状は、冠動脈が狭くなる狭心症や、急性心筋梗塞などと似ているが、大動脈の解離が血流方向へどんどん広がることで、痛みの場所が移っていくことが大きな特徴という。

 大動脈解離が、上行大動脈で起きた場合はスタンフォードA型、その他は同B型と呼ばれる。特に発症から2週間以内の「急性A型」の死亡率が高く、発症後の生存率は1時間ごとに1%下がり、48時間で半数が死に至るとされる。

 大北教授は「急性A型は、心臓近くでの大動脈破裂や、脳梗塞を起こすリスクが高く、極めて危険」とする。ほかにも、心臓に血液が逆流して起きる「大動脈閉鎖不全」、心臓の周囲に血液がたまり心拍を阻害する「心タンポナーデ」、腎不全などを併発することもあるという。

 

 ▽一刻も早く

 一般に、病院に搬送される急性A型の患者は、発症から時間が経過したケースが多く、約半数が心肺停止状態という報告もある。一方で、早期に受診し、手術が実施できた場合の救命率はぐっと上がる。日本胸部外科学会の調査では、手術できた場合の院内での死亡率は、13年は9・1%と初めて1割を切った。

 日本人の大動脈解離発症の割合は10万人に2~3人程度。だが、大北教授は「実感としてはもっと多い。普段元気な人が突然に発症するケースが目立つ。高血圧のある人が胸や背中に異変を感じたら、一刻も早く受診を」と呼び掛ける。

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