インフルエンザが猛威を振るう中、感染した子どもの学校や幼稚園の出席停止期間をめぐり、保護者の間で混乱が生じている。教師らは学校保健安全法の施行規則にのっとって「解熱後2日を経過するまで」と指導するが、医師の多くは「抗ウイルス薬が効けば熱が下がるが、感染力は落ちない。発症後すぐに熱が下がっても最低5日間は登校しないで」と呼び掛ける。施行規則が抗ウイルス薬のない時代に定められたまま改訂されていないことから生じた混乱で、保護者らは「どちらを信じれば…」と頭を抱える。
出席停止は感染症の拡大を防ぐため、感染した子どもの登校や登園を禁止する緊急避難措置。校長らの判断で実施でき、欠席扱いにならない。
学校保健安全法(旧学校保健法)の施行規則は1958年に制定された。兵庫県小児科医会感染症対策委員会の吉田元嗣委員長(61)は「当時はタミフルやリレンザなどの抗ウイルス薬がなく、熱が下がるまで5日ほどかかった。その上での解熱後2日と考えるべきだ」と指摘する。
抗ウイルス薬はウイルスの増殖を抑える作用があるが、退治するわけではない。発症後すぐに飲んでも4日間はウイルスが消えず、他人に感染させる可能性が高いとされる。日本臨床内科医会インフルエンザ研究班の2003〜04年の調査によると、児童の約半数は学校で感染し、うち14〜21%は欠席後に再登校してきた児童から感染したとみられる。
厚生労働省は09年に策定した保育所対象のガイドラインで、感染した園児の登園基準を「発症後最低5日間かつ解熱した後3日を経過するまで」と規定。
吉田委員長もこれに基づき登園登校の時期を助言しているが、子どもを一日も早く行かせたいと望む保護者は多く「施行規則を持ち出されたら『行くな』とは言えない。学校と病院の意見が違うと混乱する保護者もいる」と明かす。
文部科学省は「現在の施行規則が実態にそぐわないという認識はある」。厚労省も「幼保一体化の流れの中で、施行規則の幼稚園とガイドラインの保育園で基準が違うことに混乱があるようだ。文科省と調整したい」と話す。(坂口紘美)
(2012/02/10 07:01)
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