社会社会shakai

  • 印刷
海外からも多くのコンテナ船が入港する神戸港=神戸市東灘区(撮影・中西大二)
拡大
海外からも多くのコンテナ船が入港する神戸港=神戸市東灘区(撮影・中西大二)
ワカメ養殖の実験ロープにまとわりつく大量のミドリイガイ=2003年10月、尼崎港(川井浩史教授提供)
拡大
ワカメ養殖の実験ロープにまとわりつく大量のミドリイガイ=2003年10月、尼崎港(川井浩史教授提供)

 空荷の貨物船などの安定航行を図るためタンクに入れる海水「バラスト水」に外来種が交じり、寄港地で排出される問題で、排水浄化を義務付ける国際条約が採択から10年となる今年、発効要件を満たす見通しとなった。神戸港をはじめ日本からも大量のバラスト水が各国に拡散し、日本産に近い遺伝子型のワカメがアメリカ西海岸やオーストラリアの離島などで確認されているという。条約の発効が、国内種拡散による生態系破壊の歯止めになりそうだ。(まとめ有島弘記)

 バラスト水は寄港先で荷物を積む際に捨てられる。そこに混入する貝や海藻、細菌などは本来の分布外のため、在来種を減少させるなどの悪影響を及ぼす。「バラスト水管理条約」は2004年、国際海事機関(IMO)の会合で採択された。発効要件は30カ国以上の締結と、その商船の総トン数が世界全体の35%を超えることと規定。今年3月末時点で、締結国は38カ国、総トン数は30%に達し、日本も年内に加わる見通しだ。条約は要件を満たした日の1年後に発効される。

 エネルギー資源の輸入大国日本。神戸大学内海域環境教育研究センターの川井浩史教授によると、日本で積み荷を降ろした船が、大量の海水を各地に運び出している。神戸港を擁する大阪湾では港の近くでワカメが養殖されているが、オーストラリアで確認されたワカメの遺伝子型は瀬戸内海原産の型に近いという。川井教授は「養殖された海藻は繁殖力が高く、港と養殖場が近い大阪湾はリスクが高い。条約が発効されれば一定の効果がある」と話す。

 一方、神戸港周辺に侵入した外来種としてインド洋などが原産の貝類、ミドリイガイがいるが、目立った被害は確認されていないという。

 条約で推定7万隻に上る船舶に除去装置の設置が求められ、海運会社にとっては悩みの種。商船三井(東京)によると、除去装置の導入を予定する船は約300隻。現在、装置を選定中のため投資額は未定だが、同社広報室は「高額なのは間違いない。条約に対応しなければ船が動かせず致し方ない」としている。

 【バラスト水】 荷物を積んでいない貨物船などは重心が高くなり、転覆の危険性が増大。スクリューが水面近くに浮いて推進力も失われるため、船のタンクに海水(バラスト水)を入れて船体を安定させる。国際海事機関(IMO)によると、排出されるバラスト水は国際航路だけで年30億~50億トン。富山・黒部ダムの総貯水量の15~25倍に相当する。

社会の新着写真

社会の最新

天気(5月27日)

  • 29℃
  • 23℃
  • 40%

  • 28℃
  • 20℃
  • 20%

  • 28℃
  • 21℃
  • 70%

  • 28℃
  • 21℃
  • 60%

お知らせ


チェックした記事

チェックした記事 チェックした記事

記事選択ボタン

記事選択ボタン

記事選択ボタン

閉じる

  • ログイン
  • 新規申込
  • 紙面を見る
  • 全ての地域版
  • 記事データベース
  • 文字サイズ
  • 小
  • 中
  • 大

ヘルプ

閉じる