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両親が見守るなか、豆乳プリンを食べる梨沙さん。部屋には同級生や友人から贈られた千羽鶴があった=兵庫県太子町
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両親が見守るなか、豆乳プリンを食べる梨沙さん。部屋には同級生や友人から贈られた千羽鶴があった=兵庫県太子町
事故の前年、龍野高校1年生のときの梨沙さん(両親提供)
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事故の前年、龍野高校1年生のときの梨沙さん(両親提供)

 兵庫県立龍野高校(たつの市)のテニス部員の女子生徒が2007年、練習中に倒れ、寝たきりとなった事故から24日で8年になる。学校や教育委員会の対応に不信を抱き、裁判を起こした両親にとっては苦しみ抜いた日々。「原因が解明されない限り、事故はまた起こる。学校は安全を第一に考えて」。変わらぬ思いを胸に、娘の介護を続ける。(上田勇紀)

 女性は兵庫県太子町の梨沙さん(24)。事故当時、同校2年生で、硬式テニス部のキャプテンだった。英語が好きで、将来は客室乗務員を目指していた。

 あの日から目が見えず、言葉も話せない。“植物状態”と診断された。リハビリを重ね、好物だったプリンやヨーグルトは口から食べられるようになった。だが、大半の栄養はおなかから管で直接胃に流し込む。

 「どこまで意識があるのか、私たちにも分からない」。父(52)が寂しそうに言う。笑い声に反応し、声を出して笑う。一方、夜から明け方まで叫ぶことがあるという。

 事故後、仕事を辞めた母(52)を中心に、24時間態勢で見守る。床ずれを防ぐ体位変換、たんの除去、入浴。介護に追われながら、兵庫県を相手取った裁判を続けている。

 8年前の5月24日は中間試験の最終日だった。11日ぶりの部活動。高校から約1キロ離れたテニスコートで正午ごろ練習が始まった。

 近くの上郡町の最高気温は27度。顧問は出張のため、途中で現場を離れた。梨沙さんは顧問の指示通りに練習を進め、午後3時ごろ、最後のランニングの途中で倒れた。

 「部活中の事故だから、学校も私たちに寄り添い、原因を明らかにしてくれると信じていた」と両親。しかし、当時の校長は「学校に瑕疵はない」とし、育友会の役員会で「倒れたのは病気。なのに両親はお金のことばかり言う」などと発言したという。

 「娘が重度の障害を負った上に、『なぜ』と問うだけで“モンスターペアレント”のような扱いを受けた。泣き寝入りするか、とことん闘うかしかなかった」と父は言う。

 文部科学省によると、学校管理下で起きた児童生徒の突然死や、重い後遺症を伴う事故で、05~13年度に災害共済給付が適用されたのは832件。多くが部活動中だった。「教訓は生かされているのか。事故を共有し、二度と起こさないでほしい」。両親は梨沙さんの手を握りしめた。

【龍野高校部活事故訴訟】事故から3年後の2010年4月、梨沙さんと両親が「学校側が安全配慮義務を怠った」として兵庫県を提訴。一審の神戸地裁判決は請求を棄却したが、今年1月、二審の大阪高裁判決は、梨沙さんが部活動中に熱中症に陥ったと認定。現場を離れた顧問の教諭は「水分補給のための休憩時間を設けなかった」などとし、学校側の責任を認めた。県は2月、最高裁に上告した。

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