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 神戸市と兵庫県は今秋、介護予防を目的にパチンコやマージャンなどの遊技を長時間提供するデイサービス(通所介護)施設を規制する全国初の条例を相次いで制定した。「カジノ型」や「アミューズメント型」と呼ばれ、高齢者が楽しみながら利用できる介護施設として注目され、全国で拡大している。なぜ、規制に踏み切ったのか。(木村信行、藤森恵一郎)

 今年5月末。アミューズメント型デイサービスを計画する業者が神戸市の介護指導課を訪れた。関西初進出の打診だった。

 「実は、それまでアミューズメント型がどういうものかよく知らなかった」と担当者は打ち明ける。

 急いで資料を取り寄せ、検討を始めた。

 きらびやかな部屋。射幸心をあおる疑似通貨。利用時間の大半をゲームで過ごす-との内容だった。

 介護保険制度に基づく通所介護は、利用者の能力に応じ、自宅での自立生活に必要な機能訓練を提供するのが目的だ。同課の中戸欣尚(なかとよしひさ)係長は「ゲームの介護予防面の有効性は認める。ただ、利用時間の大半をゲームで過ごすのは、税金を投じる制度の趣旨に合わないと感じた」と話す。

 規制を可能にしたのは地方分権だ。国が握っていた介護施設の指定権限が2012年度、都道府県と政令市、中核市に移譲された。

 神戸市には「サービスの多様化に水を差す」との慎重論もあったが、最終的に久元喜造市長が条例案の提出を決断。9月24日、市議会で可決した。

 県にも7月、同様の業者から申請があり、規制条例を10月9日に制定。いずれも検討から3~4カ月の“スピード規制”だった。

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 神戸市、県とも「利用者のギャンブル依存の予防」を理由にあげる。ただ、長時間利用の線引きがあいまいな上、そもそも規制条例を制定する根拠が不十分といった声もある。

 神戸市と県はアミューズメント型を認める自治体や国の意見を聞き、関東の同型施設を視察。だが「具体的な問題事例を把握したわけではない」とする。

 県は、規制の基準が分かりにくいとの声を受け、「ゲームをする時間がサービス利用時間の半分以上」といった一定の基準を県内市町に伝える方針だ。

 一方、アミューズメント型が2カ所ある横浜市の担当者は「レクリエーションはカラオケなど事業者ごとに多様で、ゲームも創意工夫の範囲内。適正な機能訓練が行われず、ゲームだけが目的になっていれば改善指導が必要だが、現時点では条例の基準内」とする。

 厚生労働省は「デイサービスは本来、自由度の高い事業。国がサービス内容を規制する考えはない」とする。

 県内では尼崎、西宮、姫路市が規制条例の対象とならず、進出可能な“空白区”。3市の担当者は「線引きが難しく、規制するかどうか未定」とする。

 【神戸市と兵庫県の規制条例】 「カジノ型」や「アミューズメント型」と呼ばれる介護施設を対象に全国で初めて制定。射幸心や依存性を高める恐れのある遊技を長時間提供▽疑似通貨の使用▽賭博や風俗営業を連想させる広告の掲示-の3点を禁止。神戸市はデイサービス施設、兵庫県は同施設と特別養護老人ホーム、介護老人保健施設が対象。

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