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これまで「再稼働を容認できる環境にない」と書かれていた関西広域連合の要望書。昨年12月、この文言が消えた
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これまで「再稼働を容認できる環境にない」と書かれていた関西広域連合の要望書。昨年12月、この文言が消えた

 29日に再稼働する関西電力高浜原発(福井県)。防護対策の不備などから「再稼働を容認できる環境にない」としてきた関西広域連合(2府6県4政令市)の姿勢が変化した。これまで国に提出した2度の要望書にあったこの文言が、昨年12月に消えた。何があったのか。

 原発密集地・福井県と隣接する広域連合。2014年12月、「原子力防災対策に関する申し入れ」を初めて国に提出した。原発に近い京都府や滋賀県の意向を踏まえ、周辺自治体と関電が結ぶ安全協定は立地自治体並みの内容に-など7項目を求め「これらが実行されないとすれば、高浜発電所の再稼働を容認できる環境にはない」と明記。15年4月の要望書でも避難対策の課題など3項目を挙げ、同じ文言を加えた。

 ところが、高浜原発3、4号機の再稼働を差し止めた仮処分を福井地裁が取り消し、同原発の再稼働が確定的になった昨年12月24日、変化が起きた。

 同日、大阪であった関西広域連合委員会。3度目の要望書を検討した。滋賀県の三日月大造知事は「関西の水がめの琵琶湖を預かる立場として、多重防護の体制がない現状では再稼働を容認できる環境にない」とあらためて発言。同原発の30キロ圏内人口が福井県を上回る京都府の山田啓二知事も「なぜ京都が政府から再稼働について同意も容認も求められないのか」と強い口調で不満を述べた。

 これを収めたのが、連合長の井戸敏三・兵庫県知事だった。「生ぬるいという意見もあろうが、最大公約数として意見集約した」。過去2回、明記した文言は消えていた。

 広域連合で原子力防災を担う兵庫県。担当者は「ポイントは国の責任の明確化だった」とする。原発の再稼働と事故後の責任を明確にした法律はなく、広域連合はこの点を問題視してきた。政府は明言を避けてきたが、昨年12月、安倍晋三首相が「万一事故が起きた場合、国が責任を持って対処する」と原子力防災会議で発言した。

 県の担当者は「首相発言で再稼働の判断とリスクの責任が自治体にはないとはっきりし、広域連合が再稼働の是非に言及する根拠がなくなった」とする。

 一方、文案を調整した他府県の担当者は「同じ文言を入れるよう強く主張した」「政治的な機微があり、状況の推移を見て総合調整した」と打ち明ける。兵庫県の担当者は「今後も要望は続ける。姿勢が後退したわけではない」と強調する。

 原発問題の「避難計画を案ずる関西連絡会」の山本重郎さん(51)=兵庫県芦屋市=は「広域連合の強い姿勢に期待していただけに残念。大見えを切って最後は腰砕けになった印象だ」と話す。(木村信行)

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