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揺れや速度などのデータを集積できる車載器。運転席の上部に取り付ける=神戸市須磨区東落合1
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揺れや速度などのデータを集積できる車載器。運転席の上部に取り付ける=神戸市須磨区東落合1

 神戸市バスの82経路を走る全517台の運行距離を足し合わせると、1日で約4万5千キロ、地球1周分に上る。このきめ細かなネットワークを生かし、揺れや速度などのデータを各車両に蓄積して活用する実証実験を神戸市が始める。路面の段差を感知して舗装作業に役立て、ワイパーの動きの速さで雨の降り方をつかむ-。「市民の足」の“五感”を引き出せば、そんな将来像が描けるという。(小川 晶)

 神戸市などの自治体や大手の自動車、通信企業などが参加する一般社団法人「Gateway App Japan」(GAJa、東京)による実証実験。携帯電話網通信、衛星利用測位システム(GPS)、加速度センサーなどの機能を持つ最新の車載器(縦12センチ、横9・8センチ)を市バスに取り付ける。

 実験では、GPS機能を使い、市バスが今どこを走っているのかスマートフォンなどで確認できる「バスロケーションシステム(バスロケ)」を導入。貿易センター前(神戸市中央区)としあわせの村(同市北区)を結ぶ経路に今月下旬から取り入れ、2016年度中にも全経路へ広げる方向で調整している。

 バスロケは他地域でも導入されているが、同市は「バスの位置を知らせるだけでなく、もっと幅広く活用できる」と強調する。

 同市が想定するのが、速度の変化や車体の揺れ、アクセル、ブレーキの利きなどをデータで把握できるセンサーの利用。複数の車両がある地点で同じような振動を記録すれば、路面に段差がある可能性が高く、道路整備に役立てられる。

 急ブレーキを掛ける車両が多い交差点があれば、交通安全対策に生かす。減速のデータと車外カメラの映像から渋滞の傾向を分析することも可能。ワイパーの作動状況がリアルタイムで分かるため、地域ごとの降雨状況も分かる。

 車内のデジタル広告への活用も可能だ。既存の仕組みでは登録された内容を繰り返すだけだが、通信機能を使い、地震などの緊急情報を即座に流すことができる。

 実用化には経費などハードルがあるが、担当者は「市バスの情報収集能力を生かすという発想が大切」と話している。得られた情報を公開し、民間活用を促す「オープンデータ」の取り組みも進める。

【災害時の通信網構築視野】

 神戸市バスで始まる実証実験の根幹にあるのが、車載器を全国で8千万台超の自動車に普及させ、災害時の情報通信基地として活用するGAJaの構想だ。携帯電話がつながらなくなっても、独自の通信回線で緊急情報を伝えられる仕組みの構築を目指す。

 大規模災害が発生し、車で運びきれない数の負傷者がいる。携帯電話もつながらない-。GAJaが実証実験を進める車載器は、このような状況で威力を発揮するという。

 救助要請を現場に最も近い車載器から発信。約100メートル圏内に車載器を積んだ車があれば、自動的に情報が伝わり、バケツリレーの要領で官公庁などの集約拠点に届く仕組みという。圏内に車がない場合は、移動してネットワークに入る。

 災害時専用の装置だと普及が進まない可能性があるため、バスロケなど日常的な機能の充実をPRする。GAJaによると、2016年度には神戸市を含め全国10前後の自治体で実証実験が本格化する予定。(小川 晶)

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