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合奏団の結成から10年を振り返り、「彼女も喜んでくれていると思う」と語る森左介さん=神戸市灘区篠原南町1の事務局
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合奏団の結成から10年を振り返り、「彼女も喜んでくれていると思う」と語る森左介さん=神戸市灘区篠原南町1の事務局
東日本大震災で被災したお年寄りに演奏を披露する森左介さん(右)ら=2015年6月、福島市内(THE STRINGS提供)
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東日本大震災で被災したお年寄りに演奏を披露する森左介さん(右)ら=2015年6月、福島市内(THE STRINGS提供)

 神戸市灘区を拠点に病院や福祉施設などで慰問コンサートを続けるNPO法人「室内合奏団THE STRINGS(ザ・ストリングス)」が、22日で結成10年を迎える。結成のきっかけは、チェロ奏者で理事長の森左介さん(38)=同市灘区=が高校2年の時、共に音楽大学への入学を目指した親友の女子生徒を、阪神・淡路大震災で失ったことだった。親友の「幅広い世代、立場の人に音楽を届けたい」との遺志を森さんは演奏に込める。(秋山亮太)

 京都府亀岡市出身の森さんは高校2年の夏、志望していた音大で、音楽の基礎知識や聴音能力などが一定水準に達していると認定されれば入試の一部が免除される「到達度テスト」を受けた。その会場で、バイオリン奏者を夢見る同学年の女子生徒に出会った。「いろんな人に楽しんでもらうのが、自分の目指す音楽」と目を輝かせて話す彼女と意気投合した。

 神戸市灘区に住んでいた女子生徒とは、入試本番に向けて腕を磨こうと、神戸や大阪のスタジオで合奏や音楽談義を重ねた。「お互い、将来は自分の楽団を立ち上げる」と約束もした。

 だが、高校2年の冬の1995年1月17日、震災で女子生徒の自宅が倒壊した。彼女が亡くなったと聞いたのは数日後。現実を受け入れられず、葬儀にも参列できなかった。

 森さんは高校3年の秋に音大の推薦入試に合格。だが、入学後も毎年、1月17日が近づくと、女子生徒と合奏した日々を思い出して胸が詰まった。音大を卒業後、個人での演奏活動などで腕を磨いた上で、「互いの夢だった楽団を実現させ、彼女に聴かせてあげたい」と音楽家仲間に呼び掛けた。2006年2月、団員5人の合奏団を結成した。

 二人が目指した「幅広く愛される音楽」に近づこうと、幼稚園から介護施設まで、さまざまな場所で演奏を届けてきた。その数は昨年だけで約60カ所、10年で延べ約360カ所に。団員は25人に増えた。観客に「ありがとう」と言われるたび、彼女がほほ笑んで見守ってくれているような気がした。

 12年から東日本大震災の被災地も訪問。結成10年の今年は神戸や東北に加え、新潟など全国の災害被災地での慰問コンサートを構想する。

 森さんは「彼女がきっかけになってできた合奏団だからこそ、被災した人たちに寄り添い続けたい」と話す。

 事務局TEL078・203・8038

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