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雌だけを選別した精液から昨年5月に誕生した雌牛と田中孝広さん。春にも1回目の人工授精をする=兵庫県新温泉町岸田
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雌だけを選別した精液から昨年5月に誕生した雌牛と田中孝広さん。春にも1回目の人工授精をする=兵庫県新温泉町岸田
牛の精液を雌雄に分ける装置(家畜改良事業団提供)
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牛の精液を雌雄に分ける装置(家畜改良事業団提供)
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 国内外で高い人気を誇る兵庫県特産の神戸ビーフ。好調な輸出を背景に需要が高まる一方、もととなる「但馬(たじま)牛(うし)」は農家の減少で数が増えていない。この現状を打開するため、県は母牛を増やす取り組みに力を入れている。牛の精子の性別を見分け、雌だけを生ませる仕組みを導入。この方法で生まれた“1期生”は順調に育ち、春にも初の妊娠に臨む。(岡西篤志)

 神戸ビーフは2012年に輸出が解禁され、現在17カ国・地域に輸出される。外国人観光客にも人気が高く、品薄の状況が続く。

 一方、但馬牛の母牛を飼い、生ませた子牛を売って生計を立てる「繁殖農家」は高齢化による廃業が相次ぐ。県の計画では、母牛の頭数目標を14年度で1万9600としたが、実際は約1万6千と大きく下回った。

 但馬牛のブランドを支えていくには、母牛の増加が必須条件。そこで、但馬牛の研究を進める県北部農業技術センター(朝来市)が着目したのが、家畜改良事業団家畜改良技術研究所(前橋市)にある牛の精子の「性選別装置」だった。

 選別装置の仕組みはこうだ=図。精子はもともと性別が決まっており、牛の場合、含まれるDNAの量は雌が3・8%多い。重さを直接量ることはできないが、精子1匹ずつに光を当て、その発色量で大きさを見分け、雄と雌に分ける。成功率は約9割とされる。

 14年5月、県北部農業技術センターは雄牛「茂(しげ)広(ひろ)波(なみ)」の精液を同研究所に持ち込み、雌になる精子だけを集めた凍結ストローを作った。兵庫県に持ち帰り、取り組みに賛同する美方郡の繁殖農家の雌牛25頭に種付けを実施。56%にあたる14頭が受胎した。

 昨年春から秋までに全て生まれ、うち13頭が狙い通り雌。いずれも生育は順調で、近く母牛として活躍する見込みだ。

 県は今後も取り組みを強化する方針。自らも自宅で但馬牛を飼う同センターの野田昌伸所長(60)は「ほぼ確実に雌が生まれる有効な手段で、協力してくれる農家も増えるはず。但馬牛を残していくため、取り組みを広げていきたい」と話す。

 【但馬牛(たじまうし)】

 兵庫県内で生まれた黒毛和牛で、生きている牛。父牛は県が管理する優秀な遺伝子を持つ雄で、母牛は県内の農家が育てている雌。但馬牛のうち、最後まで県内で育てられ、県内で食肉に加工されたものが「但馬牛(たじまぎゅう)」と呼ばれ、さらにそのうち、霜降り度合いや肉質などが一定基準を満たしたものだけが「神戸ビーフ」に認定される。

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